【ネタバレ】『映画すみっコぐらし』監督が語る『ツギハギ工場のふしぎなコ』こだわりの裏側
「すみっこにいると、なぜか落ち着く」そんなちょっぴりネガティブだけど個性的なキャラクター、すみっコぐらしがスクリーンで大活躍する『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』が、現在全国公開中だ。 今度の舞台は、すみっコたちが森のすみっこで見つけた古くなった工場。くま工場長に誘われるまま、おもちゃ作りに励むことになったすみっコたちだが、この工場には何か秘密がありそうで……? 【関連画像】働くすみっコたちに胸キュン♪『ツギハギ工場のふしぎなコ』場面カットを見る(写真15点) すみっコたちの新たな活躍はどんな取り組みを持って描かれたのか、本作を手がけた作田ハズム監督にお話をうかがった。 ――まず本作で監督を務められることになった経緯からお聞かせいただけますか。 作田 制作スタジオのファンワークスさんには以前からお世話になっていまして、その流れでお声がけ頂いた感じです。キャラクター自体は当然知っていましたし、劇場アニメも人気が出ていて羨ましいなと思っていたので(笑)、「いよいよ来たな」ということで、ありがたく引き受けさせて頂きました。 ――外から見ていた『すみっコぐらし』の劇場アニメ作品の印象は? 作田 自分ですることを考えた時「(キャラクターが)喋らないのがすごく 大きな制約だな」と。ナレーションで全部進行するという、かなり難しい演出をしているな、と感じました。 ――では、キャラクター自体の印象はいかがでしたか。 作田 そうですね……これは、映画の作業が始まってからの印象でもあるんですが、やっぱり「可愛い」の守備範囲が広いところが魅力のひとつでしょうか。 ――守備範囲、ですか。 作田 例えば「カッコいい」だと、ちょっとやりすぎたり外したりすると滑稽な感じになっちゃうんですけれど、すみっコたちの「可愛い」は何をやっていても、どこを切り取っても可愛いんですよ。それは勿論(キャラクターを管理している)サンエックスの方たちがしっかりとコントロールしているからだとは思うのですが。 ――これまで劇場アニメ2作が制作されていますが、それを踏まえて作田監督は本作でどのようなアプローチを目指されたのでしょうか。 作田 これまでの2作は結構「泣ける映画」として評価されていて、それ自体はすごく良かったんだとは思うのですが、3作目は観終えて単純に「良かったね」「楽しかったね」みたいな気持ちで劇場を出られるものを作りたいな、と思いました。 ――今回、おもちゃ工場というものをテーマにされた理由は? 作田 関係者の皆さんと集まってストーリーを決めていくんですが、割と初期の段階から「工場を舞台に」というアイディアは出されていましたね。その一方でサンエックスさんから「しろくまの故郷の話をやりたい」という話も出まして、「やりようによっては、この二つの要素はくっつけられるのでは」と思いついて、それをさらに発展させていった感じです。 で、何の工場にするかという話になって、まず可愛くて見栄えがするものとしてお菓子が候補に挙がったのですが、食べる表現はすみっコたちの3Dモデルとの相性があまり良くないんですね。そもそも口がないキャラクターもいますし、不得意なことをわざわざやることはないだろうということで「おもちゃが良いんじゃないか」ということになりました。 ――くま工場長も、そこから誕生した? 作田 最初に「工場」というキャラクターができまして、これをどこで出そうかと考えたところ、そこにすみっコたちが入ると活躍させにくいということと、グッズ展開的にも多分同じすみっコたちと同じサイズの方がいい、ということから、ポピュラーなおもちゃであるクマのぬいぐるみを工場長にすることが決まりました。 実はおもちゃ工場に決まる前には「偽物を作る工場」みたいなアイディアもあったりしたんですが、内容が複雑になりすぎちゃいそうなので、それはナシになりました。 ――偽物の要素は、とんかつが増えちゃう場面に残っていますね。 作田 はい。あれはちょっと本線から外れるんですけれど、面白そうだから残しました。あと、途中まで入れていて結局外したネタというと、ぬいぐるみの中に綿が入っているじゃないですか。『すみっコぐらし』には、大事にされたぬいぐるみにだけ存在するという特別な「わた」の設定がありまして、サンエックスさんからそれを活かせないかという提案をいただいたので、逆の「悪いわた」がぬいぐるみに入って悪さをする、みたいな展開も考えたんですが、どういう悪さをするのか、またどういう形で解決するかに悩んでナシになりました。 (C)2023 日本すみっコぐらし協会映画部