財務省から「下品な政策」と一蹴された…円安に歯止めをかけ、日本経済を復活させる「本当に効く政策」の名前
2024年7月10日、日経平均株価は史上最高値の4万2224円2銭を記録した。その一方で、8月には過去最大の暴落幅を記録し、株価乱高下の時代に突入している。インフレ時代の今、自分の資産を守り抜いていくために私たちはどのような対策をすべきなのか。NVIDIA急成長の背景や新NISAとの向き合い方を見直しながら、日本経済の未来について考えていかなくてはならない。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では世界的経済アナリストのエミン・ユルマズ氏と第一生命経済研究所の永濱利廣氏が語る日本経済復活のシナリオを、『「エブリシング・バブル」リスクの深層』より一部抜粋・再編集してお届けする。 『「エブリシング・バブル」リスクの深層』連載第34回 『やっぱりインフレ対策としてこれをやるべき…庶民の生活を支え、個人消費を増やす「最強減税」の名前』より続く
デフレではどんどん貧しくなってしまう
永濱:よく「どうしてインフレのほうがいいんですか」と質問されるのですが、日本の経済が「鎖国」されていて、お金が国内だけで回っているなら、インフレでもデフレでもあまり変わらないかもしれません。 ただ、日本はエネルギーや食料などを海外に依存しています。このため経済的に「鎖国」はできません。となると、日本円は海外のインフレに負けないくらいの購買力を維持しなければならなくなります。 ただデフレだと、国内の物価も賃金も上がりませんので、海外と比べて購買力の面で後れをとり、日本人はどんどん貧しくなってしまいます。 エミン:そうそう。 永濱:そういう意味で、少なくとも海外から大きく劣後しない程度のインフレは必要だと思いますね。
日本人のお金が国内に戻ってくる
エミン:もう一つ、リパトリエーションにも期待しています。先に永濱さんもおっしゃっていましたが、リパトリエーションとは企業が海外で稼いだお金を国内に戻すこと。日本企業が海外で稼いだお金はこれまで海外で再投資されることが多かった。でも円安が進んだので、企業はドルなどで持っているお金を円に戻すだけで利益を得られます。 外資が日本に直接投資する流れに乗って、日本企業が国内投資を増やせば、円安を食い止め、日本経済を活性化させるでしょう。 政府は企業がリパトリをすると減税する政策を検討していると聞いています。 永濱:財務省の国際収支に関する懇談会で提案されていたことなどから、骨太方針で円安対策としてリパトリ減税などに関する内容が盛り込まれるとの観測もありました。しかし、残念ながらその発表はありませんでした。 かつて、ある政治家の先生にリパトリ減税を提案したことがあるのですが、財務省からはひと言「下品な政策」と一蹴されたそうです。 エミン:財務省の人に減税と言ってはいけませんよ(笑)。 エミン:エミン・ユルマズ。トルコ出身のエコノミスト・グローバルストラテジスト。レディーバードキャピタル代表。1996年に国際生物学オリンピック優勝。1997年に日本に留学し東京大学理科一類合格、工学部卒業。同大学院にて生命工学修士取得。2006年野村證券に入社し、M&Aアドバイザリー業務に携わった。現在各種メディアに出演しているほか、全国のセミナーに登壇。 永濱:永濱利廣(ナガハマ トシヒロ)。第一生命経済研究所首席エコノミスト。1995年第一生命保険入社。98年より日本経済研究センター出向。2000年より第一生命経済研究所経済調査部、16年より現職。景気循環学会常務理事、衆議院調査局内閣調査室客員調査員などを務める。
永濱 利廣、エミン・ユルマズ
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