知り合いの社長が愛人に「お手当」を毎月20万円渡していますが、これって「税金」はかかりますか?
「社長が愛人に毎月多額の生活費を渡している」という話は、現実の世界でも時折あるようです。ドラマや小説などにも似たような話があり、こういった話を聞くと「税金はどうなっているのだろう」と気になる方も少なくないでしょう。そこで、愛人の税金関係について考えてみました。
愛人に渡すお金には贈与税がかかる
一般的に妻や子ども、親などへ生活のために渡すお金に、税金はかかりません。仮に20万円渡してもそれが生活費であり、生活のために使われていれば税金がかかりません。家族や一定範囲の親族は、互いに助け合う扶養義務を負っているからです。 しかし、愛人となると話は別です。愛人は家族ではないため扶養義務関係にありません。そのため、生活のために20万円を渡したとしても、それは単なる贈与として扱われ、贈与税が課されます。 贈与税は年間で110万円を超えた部分にかかります。仮に月20万円、年間で合計240万円の贈与を受けたとすると、かかる贈与税の額は13万円となります。なお、生活のためでなく単に「お小遣い」として渡す場合も、同様に贈与税がかかります。 基本的に、家族でない愛人に税金がかからないようにお金を渡すには、年間110万円以下の贈与をする以外にはないと考えていいでしょう。 贈与税を納税する場合は、贈与を受けた愛人自身が、翌年に確定申告にて税の計算と納税をしなければなりません。万が一、愛人が納税をしないままでいると「連帯納付義務」として贈与をした社長自身に、愛人が未納にしていた贈与税を納税する義務が生じることになります。
給与の一環として渡した場合は?
では、もしその20万円を給与に上乗せして支給する、いわば「特別手当」の形で支給した場合はどうでしょうか。 仮に他の労働者との平等性など、問題の一切をクリアしたとしても、その20万円は通常の給与として所得税や住民税がかかります。また、健康保険や厚生年金の保険料など、社会保険料も発生します。具体的にどの程度の税金や社会保険料が発生するかは、給与の総額によって異なりますが、いずれにせよ「税金が一切かからない」というわけにはいきません。 参考までに、一般的には収入の8割前後が手取りになるといわれています。仮に毎月20万円の手当を含めた給与の総額が400万円になる場合、80万円前後が税金や社会保険料となることが想定されます。