無敗で2冠を制した優駿たち 05年のディープインパクト 衝撃与えた5馬身差圧勝劇
グレード制が導入された1984年以降、無敗で2冠を制したのは5頭。その輝かしい歴史を全5回の連載で振り返る。4回目は05年のディープインパクト。 絶対的ヒーロー不在の時代に現れた英雄。皐月賞で圧倒的な力を見せたディープインパクトは、ダービーでも“飛んだ”。 単勝オッズは1・1倍で、単勝支持率はハイセイコー(73年)の66・6%を大きく超えるダービー史上歴代1位の73・4%。「まずは落とされないように。この立場で放馬したら大変なので、緊張して乗りました」。デビュー前から意識してきたこの舞台。武豊はレース前から慎重にアプローチした。 レースは皐月賞同様に出遅れて後方から。しかし、幾多の試練を乗り越えてきた鞍上に焦りはない。馬の気持ちに合わせながら進め、勝負どころから徐々に前との差を詰めていく。馬群の外を回して直線に向くと、大外からただ一頭、軽やかに、かつ鋭く加速する。 残り220メートル付近で先頭に躍り出ると、そこからライバルとの差は広がるばかり。終わってみれば5馬身差の圧勝劇。手だれのユタカをして「この馬の強さに感動しています。何回勝ってもうれしい。感無量ですね」と言わしめる走りだった。 その後、無敗のまま牡馬クラシック3冠を達成し、G1タイトルを総なめ。種牡馬としても数々のスターホースを送り出し、日本競馬を語る上で欠かせない存在となった。見る者全てに衝撃を与えたダービーは、ディープインパクトの馬生において、まだまだ序章にすぎなかった。