「爆買い」の次は“穴場”観光? 地域の祭りや温泉猿に外国人が殺到
「ごく普通の日本」が見たい
京都、奈良、東京などこれまで定番とされてきた外国人観光客の観光ルートのほかに、「ごく普通の日本社会」を見たいという関心の広がりがこうした穴場観光につながっていると見られます。東京などでは一般の観光ルートのほかに、書店街やターミナル駅近くの一杯飲み屋の赤ちょうちん街をのぞいて歩く外国人も増えています。外国人の日本観光の深まりと期待される動きです。 長野市松代町のゲストハウス「布袋(ほてい)屋」のオーナー、山本薫さんは「松代町でも松代藩の文武学校を訪れたり、日本の弓道の心得があって弓道場で練習をする外国人もいるようです」と話し、「日本の由緒ある場所に親しんでもらって心豊かになるよう期待したい」と、日本への深い理解を心がける外国人を歓迎。長野県中野市のゲストハウス「かのか」のオーナー、高橋秀一さんは「台湾の方などは、雪を見たい、山を見たいという希望があり、これまでの名所旧跡観光から広がりが出てきたような気がします。スノーモンキーはやはり人気ですね」と話しています。 こうした外国人の動向に観光庁も今年1月、訪日外国人旅行者を地方へ誘客するモデルケースの取り組み「観光立国ショーケース」として釧路市(北海道)、金沢市(石川県)、長崎市(長崎県)の3都市を選定しました。今後、この3都市の観光資源の整備、海外への情報発信などに関係省庁が連携していくことにしています。このうち釧路市については多面的なアイヌ文化の紹介と体験、豊かな自然、水産都市釧路の早朝魚河岸まち巡り、イクラ作り体験などが日本への関心に応えていく課題だとしています。 行政の取り組みを1つの受け皿とする一方、外国人観光客自身が「日本探検」の強い興味から、日本人でも気づかなかった「面白い日本」を探してあちこちの街角、町や村に出没する穴場観光が広がりそうです。地域の日本人が思わぬところで外国人と出くわし、おもてなしをする機会も増えていきそうです。 (高越良一/ライター)