3年目の開花 DeNA・徳山壮磨のポテンシャルをいち早く見抜いた!あの人物の慧眼
【球界ここだけの話】 才能が、花開きつつある。DeNA・徳山壮磨投手(24)は大阪桐蔭高から早大を経て2022年にドラフト2位で入団。3年目の今季、1軍初登板から8試合連続無失点を記録するなど、中継ぎの一角を担い、チームに欠かせない戦力として信頼を高めている。 【写真】琉球衣装を着たDeNA・徳山壮磨、三浦銀二、梶原昂希の同期トリオ その高いポテンシャルを誰よりも早く見抜いていた人物がいた―。話は今からちょうど9年前にさかのぼる。高校野球界屈指の強豪、大阪桐蔭高の門をたたいた徳山はいきなり圧倒された。 「まず同級生がすごい子ばかりで、キャッチボールでも、みんな肩が強い」 7人いた投手の中で、球速134キロをマークした徳山はなんと下から2番目。「138、140キロとか投げる子もいて、嘘やん!?って。度肝を抜かれましたね。この中でやっていかないといけないのかと衝撃を受けた」と振り返る。 そんな徳山の不安を消し去ったのは、今年春夏の甲子園通算勝利数で歴代1位に立った名将、西谷浩一監督だった。まだ入学したばかりで、ほとんど話す機会もなかった中、投球練習中にふと後ろに現れた西谷監督から「お前、ええ球ほうるな。1年生の中で最初にシート打撃で投げさせたるわ。お前はいい投手になれるぞ」と声を掛けられた。シート打撃への登板で結果を残し、名門で1年秋からベンチ入り。甲子園、プロへの道が開けた大きな第一歩だった。 もっとも、大阪桐蔭高への進学も西谷監督の慧眼によるものだった。徳山がまだ細身だった中学時代、練習を見てもらう機会があったが、投球練習を数球したところで西谷監督に「もうやめていいぞ」と止められた。 自分は目に留まらなかったのだと右腕は肩を落としたが、終了後に西谷監督から「キャッチボールの時点でお前がいい投手になるというのは分かったから、(それ以上は)見なくてもいいと思った」と意図を説明された。この言葉に、徳山は「中学の時にそんなにすごい実績を残していたわけでもない。体の柔軟性とか投手の素質を評価してもらって、自信になったし、ここでやりたいと思った」と進学を決意した。 プロ入りから2年間、1軍登板なし。投球フォームに悩むなど苦しい時間も過ごしたが、高校時代に名将からもらった〝確かな自信〟が今も徳山の胸の中にある。寒苦に耐えて咲く白梅のように、まごう方なき徳山のポテンシャルが今、開花の時を迎えている。(浜浦日向)