秋祭り、脱毛して屋台練り 若手男衆に浸透「締め込み姿きれいに」 兵庫・播磨地域のエステ店、祭り応援プランも
播磨の秋祭りの定番と言えば、氏子の締め込み姿。勇壮な屋台練りを引き立てるスタイルとして観光客らに人気だが、近年、脚やお尻などを脱毛して祭りに臨む若者が増えている。「周囲の目が気になる」「晴れやかな気持ちで本番を迎えたい」など、理由はさまざま。男性向け脱毛を扱うサロンの中には、「秋祭り応援」と銘打ったプランを売り出す店舗も出てきた。(真鍋 愛) 【写真】播磨を代表する灘のけんか祭りの昨年の様子。脱毛して祭りに臨む若者が増えているという 「脱毛するのは35歳以下が特に多い。自分らの世代には想像もつかん」。「灘のけんか祭り」で知られる松原八幡神社(姫路市白浜町)の氏子で、宇佐崎地区祭典委員長の坂田憲昭さん(55)は「時代の流れやな」と笑う。 同神社での秋季例大祭では、旧灘七カ村(地区)の氏子が鉢巻きに締め込み姿で屋台を練り、3基の神輿(みこし)をぶつけ合う「神輿合わせ」を披露する。境内では地元住民や観光客らが男衆に盛んにカメラを向ける。 ■「男らしさ」 「昔は体毛が男らしさの象徴だった」と坂田さん。ところが最近は、締め込み姿が嫌で祭りに参加しない氏子もいるという。 同地区で屋台の太鼓打ちを担当する鰰沢(いなざわ)長成さん(23)は、数年前から脱毛を始めた。「屋台の高いところに上がるのに、体をきれいにしておきたい」と、祭り直前に2、3時間ほどかけて自身で全身を脱毛する。 医療脱毛や脱毛サロンにも興味はあるが、鰰沢さんは「施術で体を見られるのには抵抗がある」。脱毛自体は「すっきりした気分で祭りに出られるので、今後も続けるつもり」と話す。 ■需要に着目 播磨地域の脱毛サロンには、氏子らの需要に着目したプランを打ち出す店も。高砂市北浜町の脱毛サロン「1000円脱毛チャオ」は、男性向けプランの一つとして「播州秋祭り応援コース」を数年前に始めた。 コースでは締め込み姿になった時に気になる、胸▽乳輪周り▽おなか▽へそ周り▽お尻▽陰部周辺のデリケートゾーン-を都度払いで脱毛する。元々は期間限定だったが、好評で通年プランに切り替えたという。 姫路市白銀町のエステサロン「エステ・ド・モモコ」は昨年9月、「祭りの前のエチケット脱毛キャンペーン」を期間限定で実施。初の試みだったが、同店サブチーフの岩口香織さん(37)は「ニーズは確実にあった。今年も同様のキャンペーンをやろうか考え中です」と手応えを語る。 同店は約30年前、女性向けサロンとして開業した。男性向け脱毛は、パートナーや息子を通わせたいという女性利用者の声を受けて5年ほど前に始めたが、今は3割を男性が占めるようになったという。 岩口さんは「男性の脱毛への関心は年々高まっている。女性客が多いサロンでも、施術を迷うなら一度来てみて」とほほ笑む。