《ブラジル》零下18度の冷凍倉庫に数時間=密閉された従業員が凍死
サンパウロ州エンブー・ダス・アルテス市にある食肉加工会社大手「ブラジル・フーズ(BRF)」配送センターで15日、従業員がマイナス18度の業務用冷凍庫内に数時間も閉じ込められて凍死する事故が発生した。43歳の被害者は地元病院に緊急搬送されたが助からなかったと、19日付メトロポレスなどが報じた。 企業の監視カメラの映像には、冷凍肉製品が山積みにされた巨大な棚が崩れ、冷凍室の出入り口をふさいでいる様子が捉えられ、作業中の従業員2人が外に出られなくなった様子が映っていた。 通報を受けて現地に到着した救急隊が、心肺停止の状態で死亡している従業員1人を確認。もう1人は軽症で救助され、命に別状はないという。2人は数時間、冷凍室内に閉じ込められていた。 BRF社は、サディアやペルジゴンなど日本にも輸出しているブランドを有する。声明の中で、「すべての安全プロトコルを実施し、即座に応急対応チームを派遣して支援を行った」と述べた。今回の事故を遺憾に思うと同時に、遺族を全面的に支援するとし、事故が起きたエリアは現在隔離されていると説明した。 事件を担当するエンブー・ダス・アルテス警察署は、同件を「殺人」と「人身事故」の両面で登録したが、詳しい死亡原因については引き続き捜査中だ。冷凍倉庫内の状況、特に積まれていたパレットが許容重量を超えていなかったかを確認し、冷凍倉庫内での従業員の安全対策についても捜査を進めるという。 同社では低温室内で労働事故が発生するのはこれが初めてではない。2013年には労働高裁(TST)が、12度以下の低温室内で長時間の作業を強いられ、許容レベルを超える騒音にもさらされていたと主張していた従業員に対して、過酷労働手当の支給を認めた。同従業員は、寒さを回復するために1時間40分ごとに20分の休憩を取る必要があったが、会社はそれを許さなかったのだという。 裁判所はこの訴えを認め、BRF社に対して契約期間中の過酷労働手当を従業員に支払うよう命じた。この判決はすでに確定している。