顔認識でその人に最適な髪型を自動判別 仙台の会社がiPadアプリ開発
iPadで顔写真を撮ると、その人に最も似合う髪型を自動で判別して提案してくれるーー。そんな画期的なアプリを、仙台市の化粧品製造販売会社が開発した。20年以上にわたる美容室へのコンサルティング経験で培った髪型の「美容黄金比」を数値化し、岩手大との共同研究でアプリ化した。10月から岩手県の美容室で実証実験を行い、来年4月にアプリを発売する予定だ。
自動でその人に最適な髪型を判別するiPadアプリは、「ビューティーエキスパート」。iPadのフロントカメラで顔を撮影し、いくつかの質問に答えると、アプリが自動で最適な髪型を提案してくれる。 開発した化粧品製造販売のネオーラMB研究所(仙台市)は美容室に対して、20年以上に渡り美容師が最適な髪型を提案出来るようにコンサルティングを行ってきた。同社がその過程で発見したのが、「美容黄金比」という数値だ。同社によると、人が「整っている」と感じる顔と髪型のバランスは一定程度決まっている。そこで、その人の輪郭や目、鼻、口のバランスを測定して数値化すると、その人の顔が最も整ったバランスにみえるような髪型を提案できるのだという。
アプリ開発を主導した大崎秀取締役(57)は「良い美容師というのは、お客さんの顔の形、デート用か、就活用かなどのシチュエーション、若く見せたい、落ち着いて見せたいという希望から、その人にとって最適な髪型を提案できる美容師だ」と話す。それを数値化したのが「美容黄金比」で、ある美容師が「美容黄金比」を用いたところ、黄金比を使わなかった美容師よりも新規顧客の再来店比率が際立って高くなったという。 今回のアプリは同社の持つ「美容黄金比」の技術に加え、画像認識技術の専門家である明石卓也岩手大准教授との共同研究で実現した。明石准教授が加わることで、iPadの写真から顔を認識し、「美容黄金比」を自動で当てはめて髪型を提案する技術が可能になった。科学技術振興機構(JST)の事業に選ばれ、2年間の研究の末実現したこのアプリの技術は、現在特許申請中だという。 アプリは、美容師が客に似合う髪型を提案するときの手助けになるよう、美容院への導入が考えられている。また、美容専門学校では「髪を切る技術を中心に教えており、髪型を客に提案する技術については教育がない」(大崎取締役)ことから、教育現場での活用も検討しているという。東北で生まれた最先端の技術が美容業界にどのような影響を与えるのか、期待される。 (中野宏一/THE EAST TIMES)