「結果の中でそうなっただけ」巨人のサブマリン、打者延べ84人との対戦でいまだ長打ゼロ 入念準備が導いた
◆JERA セ・リーグ 広島0―0巨人=5回降雨コールド=(21日・マツダスタジアム) 雨だろうと、移籍後初ビジターだろうと、巨人・高橋礼投手(28)が好結果を残す姿は変わらなかった。淡々と腕を振り、5回4安打無失点。降雨コールドによる引き分けで3勝目はお預けも、記録上プロ初完投、防御率0・38(24イニング1失点)は12球団トップとなった。満足のいく状態や制球ではなかったというが「大胆にストライクゾーンに強い球がいけば前に飛ばしてくれるだろうと。誠司さんとも前回やっているので、神経質になり過ぎずにやれた」と振り返った。 19年6月以来5年ぶりのマツダでの登板。前回と同じ相手で3度先頭に安打を許したが、2併殺を奪うなどいずれも後続を断った。唯一のピンチだった5回も2死一、二塁で大瀬良を見逃し三振。緩急を織り交ぜ三塁を踏ませなかった。途中からは雨脚が強くなりマウンドもぬかるんだが「歩幅より足の着き方が大事。そのトレーニング、足の着き方も勉強してきている。だから滑っても何となくやり過ごせた」とうなずいた。 今季打者延べ84人と対戦し、長打はゼロ。それでも「結果の中でそうなっただけかなという感じ」と冷静に語る。「絶対に長打、本塁打を打たれる時も来る。ただ、その確率をどう下げるかの作業は絶対にしないといけない。本塁打を打たれたシミュレーションさえする」。登板前日までに映像を見ることも含め打者や場面、天候など細部まで想定して準備を行うから目の前の結果を受け入れられる。「いろんなシミュレーションが生きた試合」とテンポの速さにもつながった。 勝利にも浮かれないからこそ、安定感は持続している。7日の今季初勝利は21年4月以来1086日ぶり。翌週も勝利を収め、無傷の2勝を挙げているが、調整期間の心の変化はない。「10月までひたすら勝てる投手としてどういう調整をしていくか、一歩ずつ前へ進めていくことの繰り返し。勝ったからそれがどうなるとかは全く変わらないです」。シーズンを完走するまで、手綱を締め続ける思いだ。 杉内投手チーフコーチはサブマリンの好投に、「雨の中でも良かった。ちゃんと制球もしていたのでね、ナイスピッチングです」と称賛した。4月の日曜無敗を力強く支えている「サンデー礼」。ローテに不可欠な存在となりつつある。(田中 哲)
報知新聞社