【地球沸騰化】危機感強め対策急ごう(1月22日)
今年は、世界平均気温が観測史上最も高かった昨年よりも暑くなる可能性が指摘されている。地球は「温暖化」から「沸騰化」の時代に入ったとのグテレス国連事務総長の警句が重みを増す。気候変動は人類が直面する最大の課題であり、県民一人一人が危機感をさらに強め、解決に向けた行動を急ぐ必要がある。 欧州連合(EU)の気象情報機関は昨年の世界平均気温が14・98度になり、記録が残る1850年以降で最高だったと発表した。産業革命前より1・48度高く、1・5度に抑える国際的枠組み「パリ協定」の目標に迫っている。世界気象機関(WMO)は、今年のさらなる気温上昇を懸念し、二酸化炭素など温室効果ガスの大幅削減を訴える。地球は重要な局面を迎えているとの認識を一段と深めなければならない。 県は温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を2050年までに実現する目標を掲げる。しかし、福島民報社などが昨年12月に実施した県民世論調査で「達成できる」と回答したのは17%にとどまった。一方、脱炭素社会を意識して生活している人は71%に上った。個人の関心の高まりを目標達成に向けた施策にどう結びつけるかが課題と言える。
県内の行動指針となる「県カーボンニュートラル推進条例(仮称)」が年内に制定される見通しだ。再生可能エネルギーの使用、電気自動車など電動車の導入、建築物の木造化、ごみの排出量削減などの取り組みを促す内容になるとみられる。施策の充実とともに、県民、事業者らの行動を喚起する仕組みや財政支援の具体化が不可欠だ。 条例を後押しする組織として「ふくしまカーボンニュートラル実現会議」の役割は大きい。発足2年目を迎え、実効性が問われてくる。県内の自治体、企業、団体などで構成する組織力を生かし、県内の隅々に施策の必要性を浸透させてほしい。 県議会は「地球温暖化・災害に強い県づくり対策特別委員会」を先の12月定例会で設置した。超党派で県内の現状を把握し、県内外の先進事例も調べ、県民の目線で政策を立案するとしている。県、実現会議と一体で、脱炭素社会の実現を強力に推進するよう求めたい。(角田守良)