子育て世帯とそうでない世帯との「分断」につながる可能性も 子ども・子育て支援法などの改正案が閣議決定
元日本銀行政策委員会審議委員でPwCコンサルティング合同会社チーフエコノミストの片岡剛士が2月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。閣議決定された子ども・子育て支援法などの改正案について解説した。
政府が子ども・子育て支援法などの改正案を閣議決定
少子化対策の強化に向け、政府は2月16日の閣議で、子ども・子育て支援法などの改正案を閣議決定した。法案は児童手当の高校生の年代までの拡充など、少子化対策「加速化プラン」を実施するためのもので、財源として新たに支援金制度を設けることが盛り込まれている。
「子どもが増えない現状を変える」ための政策をするべき
飯田)「異次元の少子化対策」と言われるものですが。 片岡)見方によっては異次元だと思いますが、少子化対策と銘打つのであれば、少子化をなくすような対策でないといけません。現行の少子化対策は子どもができた段階で、教育などのサポートをどのように充実させるかという話であって、子どもが増えない現状を変えるための政策ではないと思います。若年層の所得を含めた経済状況をどう改善させるか、また結婚したいと思う方々が安心して結婚し、生活できるような環境をいかに整えるのかが、少子化対策のメインになるべきだと思います。現状だと、そのような話にはなっていません。
今回の政策が子どもがいる世帯とそうでない世帯との分断につながる可能性も
飯田)お金を出すにしても、財源確保のために保険料が上がるのではないかと思うのですが。 片岡)理屈を言えば、子どもは成長すると経済成長に寄与し、大人になれば所得税も含めて税を払います。ですので、子どもが幼いうちは政府がお金を出し、支援するということです。ただ、支援するお金は負担ばかりで戻ってこないお金ではなく、将来は「税収」という形で戻ってくるわけです。 飯田)将来的には。 片岡)今回、月500円というような話が出ていますが、お子さんがいない世帯の方も含めて徴収し、それを原資にするのは、現役世代を将来の子どものために犠牲にするという政策なので、私は非合理だと思います。なおかつ現状、お子さんがいる方々がそのような政策をどこまで求めているのか。そこにも疑問を感じます。お子さんがいない方々の生活が楽で、「余分にお金があるから何とかしたい」と思っているわけでもないのに、そのようなところからお金が出され、自分たちの子育てを支援されていると思うと、気持ちがいいものではないですよね。今回の政策は、お子さんがいる世帯とそうでない世帯の分断につながるのではないかと懸念しています。 飯田)「俺の金をふんだくって子どもにばかり使いやがって」と思うかも知れませんよね。