魅せた「ジュラシック・ワールド」 木澤大祐がラストイヤーにミスター日本に輝く「こんなドラマないでしょ」
「こんなドラマないでしょ。やめなくてよかった。続けてきてよかった」 10月6日(日)、大阪・国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)にて『第70回JBBF日本男子ボディビル選手権』が開催され、木澤大祐(きざわ・だいすけ/49)選手が初優勝に輝いた。今年で引退宣言をしていた木澤選手は、最高の形で競技生活に幕を閉じる結果となった。 【写真】木澤大祐選手の「ラストステージ」で魅せたド迫力の筋肉
木澤選手と言えば、「ジュラシック」の愛称で幅広く知られ、自身のYouTubeは登録者約11万人を誇り、さらには昨年から『ジュラシックカップ』という賞金ありのボディビルコンテストを主催したりなど、今最も注目を集めるボディビル競技者の一人だ。 そんな木澤選手はこれまで19度、この日本男子ボディビル選手権のファイナリスト12名に名を連ね続けており、今回で20回目のファイナリスト入り、史上最年長となる49歳での初優勝、さらにラストステージでの勝利と、記録にも記憶にも残る優勝となった。 大会後、報道陣に囲まれた木澤選手は「人生って、ほとんどのことがうまくいかないと思うんです。ただ、それを乗り越えていくことが楽しみでもある。これまで色々な人生の山や谷があって、ボディビルを通じてそれらを経験できました」と、10代のころから続けてきたボディビルへの感謝を語った。 さらに、「これまでは2位や3位が続いていて、会場に応援に来てくれていた子どもたちを泣かせてしまっていたんですが、今回優勝できて、さすがに『日本一』だということは子どもたちも分かってくれていると思うので(笑)、よかったと思います」と、支えてくれている家族への想いを話してくれた木澤選手。 特に今大会は若手選手の台頭が目立った。3位に入った刈川啓志郎選手は23歳、4位の扇谷開登選手は27歳、5位の寺山諒選手は29歳と、ベテラン勢と入れ替わるようにして20代の若手選手たちが一気にファイナリスト入りしを果たした。そんな、これからのJBBFボディビル界を担う若手選手たちへ向け、競技者としての第一線から身を引く木澤選手は「これからもナチュラルの素晴らしさをアピールしていって欲しいですね」とメッセージを送った。 「こんなドラマないでしょ。やめなくてよかったし、続けてきてよかった」と今回の優勝を振り返った木澤選手。20年間、一時は11位まで順位を落としたこともあったが、不屈の魂で最後に栄冠を手にした。ボディビルに費やした長い年月が最後に最高の結果という形で実を結んだこのドラマは、多くの人の心を打ったに違いない。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材・撮影:FITNESS LOVE編集部