柴咲コウの英語力に黒沢清監督「こんなに上手いとは」日本外国特派員協会で会見「日本語も自分で言うべき…?」
映画『蛇の道』(6月14日公開)の上映会と会見が5日、丸の内・日本外国特派員協会にて行われ、主演の柴咲コウ、と黒沢清監督が登壇。ほぼ全編フランス語台詞に挑戦した柴咲が、今後も外国語作品への挑戦に意欲を見せた。 【写真】柴咲コウ、笑顔を見せながらの会見 黒沢清監督が、98年に劇場公開された哀川翔主演の同名Vシネマを、フランスを舞台にセルフリメイクしたリベンジサスペンス。 冒頭、柴咲は流ちょうな英語で挨拶。「偉大な黒沢監督とこの作品を撮ることができ、ここに来ることができてとても光栄です。本作はフランス映画なので、本当はフランス語でごあいさつしようと思ったのですが、フランス語が上手く話せないので…」と苦笑しつつ、通訳が日本語に訳した後に「日本語も自分で言うべきでしたよね、すみません(笑)」。 柴咲の英語に、黒沢監督も「柴咲さんがこんなに英語が上手いと思わなかったのでびっくりです。僕は日本語でやらせてください(笑)」と笑いをさそった。 黒沢監督は、フランスでのセルフリメイクについて「5年ほど前にフランスのプロデューサーから、あなたがこれまで日本で撮ってきた作品のどれかをフランスでリメイクしてみないかと言われ、とっさに、それなら『蛇の道』をやりたい、と思ったのがきっかけ」と明かし、オリジナルで哀川翔が演じた主人公を女性にした理由について「オリジナルの高橋洋(による脚本の)バージョンとは違う、僕ならではの『蛇の道』になるのではと思った」と語った。 愛娘の復讐に燃えるフランス人に協力する謎多きヒロイン小夜子役に柴咲を起用した背景について、監督が「この役をできる日本の女優はいるのかと、まず大物から当たっていこうとダメ元で柴咲さんに声を掛けたらやってくれるというので、やった!と思いました」と言うと、柴咲も「黒沢監督とお仕事できるということ、フランスに行けるという不純な動機でこのお話を受けました(笑)」。
柴咲コウと黒沢監督「日本よりもフランスのほうが居心地が良い」と思う点は
フランスで1人、日本人女性がいるという状況の表現について聞かれると、柴咲は「10年、フランスに住んでいる心療内科医としてたたずまいから言葉から、なじんでいるうように表現するのは大変苦労しました」と振り返り「現場のフランス人のスタッフともコミュニケーションをとりたいと思ったんですがフランス語はままならないし、ブロークンイングリッシュで話しかけても、やっぱりフランス語で話したくなってよけい混乱してしまって。でも後半になると何となく分かってきて少しずつ答えられるようになって、自分の成長が楽しかった」と笑顔。 一方で失敗談を聞かれると柴咲は「セリフ以外でも挑戦しないと成長しないと思ったので、マルシェでフランス語で買い物したりタクシーに1人で乗ってみたりしたんですけど上手く伝わらないことが大半だった」と明かし「でも挑戦することに意義があると思うし、これからもいろいろな言語の作品に挑戦したい」とさらなる意欲。 「フランスになじめたか」と聞かれると、柴咲は「私はフランスはとても居心地が良くて。ちゃんと議論ができて、私はこう思う、そう思わないとハッキリ言っていい雰囲気がにじみ出ていた」。 黒沢監督も「映画関係の人と付き合っている限りは、正直、日本の人たちよりも居心地よいと思う。例えば時間にルーズで、一緒に食事を使用というと30分ほど遅れてきたりするんですが、映画の撮影となると30分前に来ている。それだけ映画は特別。本気を出せば時間を守れるんじゃないか、とも思うけど」と笑いをさそいつつ「一方で、今日は早く帰らせてくれ、なぜなら妻と演劇に行く約束をしたんだと言ってくる。それは日本では絶対に言えない理由。親が死んだとかいった理由になるんですけど、フランスでは堂々と言えて、皆がそれを認める。素晴らしいなと思いました」と語り、海外記者たちの笑いと共感を得ていた。