“最後の孤立部族”センチネル族になぜ私たちは魅了されるのか、世界中でカルト的な人気に
補足:島の人々への中傷の歴史
アンダマン諸島の人々は長い間、地球上で最も誤解されてきた人間社会の1つだった。変わっているものとされたり、やみくもに崇拝されたり、悪魔として扱われたりしてきた。 マルコ・ポーロはアンダマン諸島を訪れたことがなかったが、13世紀に島民を「最も野蛮で残酷な人種で、犬のような頭、目、歯を持っている。彼らは非常に残忍で、捕らえた外国人は皆殺しにして食べてしまう」と描写した。 約600年後、アーサー・コナン・ドイルは、シャーロック・ホームズの小説『四つの署名』に、「邪悪な小人」で「毒々しく恐ろしい目」をしたアンダマン人の男を敵役の殺人鬼として登場させた。 アンダマン諸島の人々は20世紀に入ってもヨーロッパの人種理論家の興味を引き続けた。「人種衛生と優生学」の研究がナチスに影響を与えたドイツの人類学者エゴン・フォン・アイクシュテット男爵は、1920年代にアンダマン諸島を訪れた。その後、彼は島民を「原始的なチンパンジー型」の人間だと評した。 実際には、アンダマン諸島の人々は原始的とはほど遠い。近年、パンディヤ氏によって、島民の複雑な文化が記録されている。 例えば、アンダマン族は非常に豊かなボディアートを作り出す。黄色土と白い粘土の絵柄で皮膚に直接描かれた複雑な歴史的テキストは、身につける人のニーズや状況の変化に応じて常に消去され、作り直される。生涯消えない儀式的な傷跡もある。これらの模様には、島々の哀歌と叙事詩が刻まれている。 アンダマン諸島の人々はカニバリズムや首狩りの常習者だと何世紀にもわたって中傷されてきたのに、1920年代と30年代に「懲罰遠征」から島民の切断された頭部を戦利品として持ち帰ったのは英国人だった。 今日、センチネル族を含むアンダマン諸島の先住民の人口は、わずか数百人にすぎない。植民地化以前は、少なくともその10倍はいたにもかかわらず。
文=Adam Goodheart/訳=杉元拓斗