中国・日本人母子刺傷 止めに入ったバス案内係の中国人女性死亡
中国江蘇省蘇州市で日本人学校のスクールバスが、刃物を持った男性に襲撃され、日本人の母子らが負傷した事件で、重体となっていた中国人女性が亡くなっていたことが28日分かった。蘇州市公安局がホームページ上で公表した。女性は犯行を止めようとして刺されており、日中両国から追悼の声が上がっている。 【写真】襲撃事件の現場となったバス停 市公安局によると、女性は蘇州市姑蘇区在住の胡友平さん(54)で、24日午後4時ごろ、蘇州市内のバス停で刃物を持った中国人の男性を発見した際に止めに入り、複数回刺されたという。 国営新華社通信によると、胡さんは26日に亡くなった。胡さんは襲撃した男性をつかみ、後ろから抱きつくなどして制止し、その間に日本人の子は逃げることができたという。けがをした日本人の母子は命に別条はない。 胡さんはバスの案内係で、男性がバスに乗り込もうとした際、阻止したという情報もあり、胡さんが止めなければさらに被害が広がっていた可能性もある。 地元当局は「自らの危険を顧みず、勇気を持って立ち向かい、多くの人が被害を受けることを防いだ」として胡さんの勇気ある行動をたたえる称号を贈ることを決定。事件現場には市民らによって花が手向けられ、SNS(ネット交流サービス)にも追悼の声が多数投稿されている。 北京の在中国日本大使館もSNSに半旗を掲げた画像と共に「深い悲しみを感じている。胡さんの勇気と善良さは、多くの中国の民衆を代表するものであると信じている」と投稿して弔意を示した。【北京・岡崎英遠、河津啓介】