「人命を軽視した短絡的な判断」 事実婚の女性に頼まれて殺害し自宅を放火した罪などに問われた男 懲役6年の判決
ことし2月、愛知県愛西市で事実婚関係にあった女性の依頼を受けて殺害し、自宅に放火するなどした罪に問われた男の裁判で、名古屋地方裁判所は11月10日、男に懲役6年の判決を言い渡しました。 【写真を見る】「人命を軽視した短絡的な判断」 事実婚の女性に頼まれて殺害し自宅を放火した罪などに問われた男 懲役6年の判決 判決などによりますと、住居不定・無職の小塚勝也被告(64)はことし2月、当時住んでいた愛西市の住宅で、事実婚関係にあった植手敬子さん(当時54)から頼まれて、刺身包丁で胸を刺して殺害したあと、家に灯油をまいて火を放ち、すでに死亡していた植手さんの母親の純子さん(当時83)の遺体を損壊した、嘱託殺人などの罪に問われています。 これまでの裁判で小塚被告は、起訴内容を認めていました。 検察側は「計画的で非常に危険な犯行」などと指摘して懲役7年を求刑。 一方の弁護側は「純子さんの年金を頼って生活していたが亡くなったことで、絶望して心中を決意した」などと主張し、情状酌量を求めていました。 10日の判決公判で、名古屋地裁の久禮博一裁判長は、小塚被告に懲役6年の判決を言い渡しました。 (判決要旨から抜粋) 「嘱託を受けているとはいえ、服用した睡眠改善薬が効かずに覚醒している内妻の胸部を鋭利な包丁で突き刺すといった残忍ともいえる方法で殺害しており、内妻の希望に基づくものであることを踏まえても、強固な殺意に基づく非情な犯行といえる」 「『一枚岩』の3人の生活が終了してしまったからという動機は、内妻の死を伴う心中を選択する理由として理解しがたく、全く同情すべき点を見出せない」 「貧困を解決するための手段を模索したことすらうかがわれない。心中を回避しようとする意思やそのための努力を行うことも全くないまま、犯行に及んだものであって、人命を軽視する短絡的な判断は、嘱託殺人事案の中でも強い非難が向けられる」 「至る所に布団や新聞紙など燃えやすい物を積んだ上、36リットルと多量の灯油をまいて着火しているほか、初期消火を遅らせるために近隣の消火用ホースを隠匿したりしており、計画的で悪質な犯行である」
判決文を読み上げたあと、裁判長から「あなたなりの事情があったにせよ、周りの住民にも迷惑をかけ、厳しい非難は免れない。自分が行ったことの重大さに気づいて反省を深めてもらいたい」と声をかけられると、小塚被告は「はい」と答えました。
CBCテレビ