キャリア断絶、「ワンオペ育児」の現実…韓国女性の84%「出産は損」
2024年アジア未来フォーラム 性別格差が大きいほど出産意向が低下 女性の73%「結婚は女性に不利」 男性は35%…倍以上の認識の違い
韓国社会全般の性平等水準に対する男女の認識の差が大きいことが確認された。女性が見ている現実は男性よりはるかに悲観的だった。このような違いが出産と結婚をさらに忌避させるという悪循環を招くと専門家たちは指摘している。 ハンギョレが世論調査会社グローバルリサーチに委託して全国の19歳から44歳の1千人の成人に対して実施した調査(9月10~13日)で、「自分は子どもを作りたい」(出産意向)という問いに「そう思う」と答えた女性の割合は48.5%。一方、男性は65.4%ではるかに高かった。 男女の認識の違いは結婚の意向にも表れている。男性の71.8%が「結婚したい」に「そう思う」と答えているが、女性は56.8%にとどまった。 世界で最も深刻な少子化社会となっている韓国において、女性は男性よりも結婚を望んでおらず、子どももあまり望んでいないということだ。その背景には、結婚と出産は女性にとって損だという強い認識がある。「結婚は女性にとって損だと思う」という問いでは、「そう思う」と答えた男性は35.3%だった一方、女性は実に72.6%にのぼった。女性は男性の2倍を超える。 出産に関する問いでは、状況はさらに深刻になる。「出産は女性にとって損だと思う」という問いでは、女性は84.4%が「そう思う」と答えたが、男性はそれよりはるかに低い51.7%にとどまった。女性のこのような認識の裏には、韓国社会の「再生産構造」は自分たちにはるかに不利に働いているという暗黙の判断がある。ソウル大学のイ・ジェヨル教授(社会学)は、「女性たちの期待値は高くなったのに、家族と職場には制度的、文化的な遅滞現象が現れている」とし、「このような状況においては、集団的に見れば最悪の結果だろうが、若い女性たちの立場からすると、結婚と出産を忌避するというのは最も合理的な選択だ」と語った。 20代半ばのKさんは大学院で学んでいる。インターンで収入も得て経験も積んでいる。彼女はまだ先の話だと思っているが、よい人に出会えれば結婚することもあり得るという気持ちがある。しかし、子どもを産むつもりはまったくない。子どもを産んだら職場を捨てなければならないかも知れないからだ。周囲の先輩女性たちからも、出産によるキャリア断絶の話を数多く聞いてきたからだ。彼女は、出産は女性にとって損だと考えたのだ。 結婚生活による家事と出産後の子育ての分担をめぐる男女間の認識の差も大きい。「夫婦の家事分担は公平になされていると思う」という問いでは、「そう思う」は男性が75.4%だったのに対し、女性は64.1%。子育て分担においても、「公平だ」と答えたのは男性が68.2%、女性が55.7%だった。これらは、家事と子育ての分担の現実は男性が考えている現実よりも女性が見つめている現実の方がはるかに悲観的だということを意味する。性平等な役割分担の実現までにはまだ距離があるという意味でもある。 このような出産と子育てをめぐる女性と男性の認識の違いは、少子化とどのような関係があるのだろうか。翰林大学のシン・ギョンア教授(社会学)は、「性平等についての認識とつながっている性別による態度の違いが大きいと、女性の出産意向は低下する」と述べた。例えば、出産と育児をめぐる現実について、男性は公平だと認識し、女性は不公平だと思っているという風に、男女の認識の隔たりが大きいと、女性は出産を忌避する可能性が高まるのだ。男性が出産による負担を無視する可能性が高まるため、相対的に女性の負担が重くなると考えるからだ。 結婚と出産にとどまらず、韓国社会全般の性平等環境に関する問いでも、性別による違いがはっきりと表れた。韓国社会は「男性の方が暮らしやすい」という問いに「そう思う」と答えた男性が14.7%だけだった一方、女性は57.1%にのぼった。逆に「女性の方が暮らしやすい」という問いでは、「そう思う」と答えた女性は4.6%(男性は38.2%)のみだった。 家庭や職場に存在する差別についても、女性の方が深刻に感じていた。「家庭における女性の待遇」について、女性は61.2%が差別が強いと答えたが、男性は36.7%にとどまった。 職場での差別についての問いでは、男女の認識の違いがさらに大きくなる。差別が強いと答えた女性は70.5%にのぼった一方、男性は38.6%にとどまった。 調査を実施したグローバルリサーチのキム・テヨン専門委員は、「今回の調査で、女性はワンオペ育児、キャリア断絶など、出産と育児において男性より大きな負担と損害を甘受しなければならないと考えていることが確認された」とし、「そのため出産意向が男性より低く、実際に少子化の重要な原因となっている」と語った。 今後の性平等の向上に対する見通しでも、期待は42.7%にとどまった。女性の期待の方が低かったが、差は大きくなかった。社会全般の性平等の現実をめぐっては男女の認識の差が大きかったが、将来の見通しでは悲観的な方へと収れんしているわけだ。 リュ・イグン|ハンギョレ経済社会研究院先任記者、ハン・グィヨン|同研究委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )