SANU 本間貴裕さんの仕事服論「体の動きづらさは、心の動きづらさに直結する」
「実はスーツに合わせるようなドレスシャツやネクタイは、今はひとつも持ってないんです」。我々が思い描く企業経営者のイメージを、こんな言葉で鮮やかに覆してくれた本間貴裕さん。 ▶︎すべての写真を見る 日本全国に点在する自然のなかのセカンドホームを手軽な月額料金で利用できる、いわば“別荘のサブスクリプションサービス”を提供する企業SANUを創業。 現在はブランドディレクターとして同社を監修する本間さんは、北海道の自宅と東京の職場の2拠点生活を実践し、サーフィンやスノーボードなどを愛する生粋のアウトドアマンでもある。 冒頭の言葉もなるほどと思わせるが、驚くのは投資家や株主、銀行などとの折衝にも、スーツやジャケットにTシャツという“着流し”スタイルで臨むということ。そこには確固たる信念がある。
「僕の仕事は自然の中にセカンドホームをつくることですが、自然の中で遊ぶのが大好きなので、普段の生活と仕事の区分がない。むしろ区分しないようにしているのですが、それは仕事と生き方がダイレクトにつながっていることこそが僕の強みだと思っているから。 なので服装に関しても同じ。もちろんビジネスパートナーへのリスペクトはあるので、ジャケットやスーツは着ますが、インナーはいつもTシャツです」。
自分の好きなことを仕事にする。それは簡単ではないが、好きだからこそ発揮できる能力や発想がある。つまり、理にかなっているのだ。ゆえに本間さんは、仕事でも好きな服を着る。 そしてもうひとつ、彼には着たい服を着る理由があるという。 「僕にとって体の動きづらさは、心の動きづらさに直結しています。体が窮屈だと思考も働かず、伸び伸びした創造性やアイデアが生まれない。 動きづらい服装は昔から苦手で、高校も学ランが着たくなくて、ポロシャツに制服のパンツとスニーカーで通学していましたから(笑)。 それと服装に関しては、そのままどこにでも行けるというのが僕のなかでは大事なんです」。