【加熱する中学受験に新たなトレンド】難関校は倍率横ばいも「中堅校」が人気急上昇の異変
首都圏の中学受験熱は依然として高い。首都圏模試センターの集計によると、’24年の私立と国立の中学受験者数は約5万2400人。過去最高だった前年よりもわずか200人減少したものの、受験率は過去最高の18.12%となった。小学6年生の約4.7人に1人が中学受験をしたことになる。 【眞鍋、コムアイ、多部】高級外車でお出迎え、手繋ぎデート…高学歴女優「彼氏とラブ!」写真 偏差値70台の「難関校」や「準難関校」の志願者は微減かほぼ横ばいだった一方で、これまでにはなかった変化として、「中堅校」が大きく受験者を増やした。’24年の首都圏の中学入試で起きたこの”異変”について見ていきたい。 ◆中堅校が志願者を増やした理由とは 首都圏模試センター取締役教育研究所長の北一成氏によれば、「中堅校の志願者が増えたのは珍しい傾向」だとか。ただ、その理由は明確にあるという。一つは教育内容の充実だ。 「首都圏の私立中堅校は教育内容が良くなっています。文部科学省は10年に1回、学習指導要領を見直すのですが、その際、私立の中高一貫校もカリキュラムなどを精査します。文科省からの要請に合わせつつ、よりブラッシュアップして一歩先駆けた教育へと進化させた学校が増えているのです」 もう一つ、中堅校に見られた特徴が「高大連携」の強化だ。有名大学と連携協定を結ぶことで推薦枠を拡大した中堅校が、志願者を大幅に増やしているのだ。 ◆男子校は佼成学園、女子校は三輪田学園が大幅増 志願者を大幅に増やした中堅校を見ていきたい。男子校では東京・杉並区の佼成学園中学校が一般グローバル、一般、特別奨学生など全ての志願者を合わせると、前年よりも787人増の2482人となった。 佼成学園の偏差値は首都圏模試センターだと54~63に位置する。ネイティブ教員による語学教育を充実させるなど、急速にグローバル教育にシフトしている。’23年10月には国際基督教大学と高大連携協定を結んだ。グローバル教育とともに最先端のICT教育(ITやデジタルを駆使した教育)を取り入れている点も注目されている。 女子校では、法政大学への指定校推薦枠が最大30人に広がった東京・千代田区の三輪田学園が、前年の1669人から1909人へ大幅に志願者を増やした。ここ数年で、着実に人気を集めている形だ。 三輪田学園の偏差値は53~63。’15年から法政大学と高大連携協定を結び、指定校推薦枠の設定を含めた連携の拡充が’22年9月に発表された。他にも国際教養大学や津田塾大学、東京女子大学と高大連携を結び、英語力の強化や国際理解教育などに活かしている。 高大連携協定を新たに結ぶ学校は増加傾向にあり、この流れは今後も続きそうだ。また、東京・中野区の宝仙学園中学校・高等学校(共学部)理数インターは、今年4月から順天堂大学の系属校となった。もともと高大連携を結んでいたが、系属校化することによって毎年、数人程度が医学部に内部進学できることになり、話題となっている。中堅校の人気が高大連携によって上昇する傾向は、来年の入試でも続きそうだ。 ◆保護者の価値観が「多層化」へ 首都圏の中学受験では、難関校を目指す児童は高い合格実績を誇る「SAPIX」に通うことが多い。中学受験の過熱により、これまでであれば小学校3年生の2月に入塾するのが一般的だったが、1年時から入る児童が増えるなど、塾通いの早期化が進んでいる。 その一方で、公立の中高一貫校を目指す層や、海外進学に強い学校を目指す層が出てくるなど「多層化が進んでいる」と北氏が指摘する。 「好きな習い事やスポーツと並行して受験できる学校があれば受けてみようという家庭も増えています。難関校と“それ以外”の二極化から、多層化にシフトしつつあると言えるのではないしょうか。推薦や内部進学で大学に入る受験生の割合が高まっていて、中堅校から有名大学に進学するケースも珍しくなくなりました。今の私立中学の教育は柔軟。保護者世代が持つ中学受験のイメージや、上にお子さんがいて3年から4年くらい前に親として中学受験を経験した方が持つイメージとも、大きく変わっている可能性が高い。気になる学校があるなら、説明会に行くなど、最新の状況を確認した上で志望校を決めてほしいと思います」 首都圏の私立中学は教育内容を急速に進化させている。最新の情報を得て学校選びをすることが必要と言えそうだ。
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