米港湾スト、労組トップは意気盛ん-大統領選控え政治は労働者側寄り
(ブルームバーグ):
米東部およびメキシコ湾岸の港の港湾労働者が1977年以降で初のストライキに入った1日、国際港湾労働者協会(ILA)のハロルド・ダゲット会長はメンバーらに、「君たちは歴史を作っている」と呼びかけた。
争議の主な争点である自動化に反対する「強い文言を新たな労使契約に盛り込むつもりだ」と強気をアピールした。
米港湾労働者がストライキ入り、東海岸の港が閉鎖-1977年以来初
今回のストが歴史を作るかどうかはともかく、休暇シーズンを控えた米国の港湾のまひと大統領選挙の論争が、船会社と港湾運営者のグループである米国海事同盟(USMX)に対するダゲット氏の強力な武器になっていることは疑いの余地がない。
経済学者たちは、ボストンからヒューストンに至る主要な海上貿易の玄関口がすべて閉鎖されたことによるサプライチェーン混乱がもたらす損害を数値化しようとしている。 遅延や損失による損害額は1日当たり10億ドル(約1440億円)から50億ドルに上ると推計されている。
「このストは生産を混乱させ、影響を受けた労働者の収入減につながり、サプライチェーン全体に波及するだろう」と、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナ・ウォン、ニコール・ゴートンカラテッリ両氏は分析。「消費と生産の減少による国内総生産(GDP)への打撃は1日当たり30億ドル」と推計し、「1週間のストは年率換算のGDP成長率を0.3ポイント押し下げる可能性がある」と指摘した。
ストは経済に、突然の衝撃を与えるというよりも、徐々に揺さぶりをかけるようなものだ。貨物の荷降ろし、輸出品の積み込み、代替ルートの確保ができない船舶は、いかりを下ろして事態が収まるのを待つことになる。これらの遅延により、ホリデーショッピングシーズンの前に船積みの能力が低下し、スポット運賃が上昇せざるを得なくなる。
民主党も共和党も、大統領選挙の投票日まで5週間というこの時期のストに、政治的な影響をどう乗り切るか苦慮している。