「同窓会は意味がない」という中高年に欠けた視点 「60代こそ出たほうがいい」認知症専門医が勧めるのはなぜか
脳神経内科が専門の医学博士で、老人医療・認知症問題にも取り組む米山公啓氏による連載「健康寿命を延ばす『無理しない思考法』」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボによりお届けする。 60歳を過ぎると同窓会が増える 60歳を過ぎたころから、同窓会や同期会の連絡が増えてきます。 【写真】「自炊する高齢者は孤独になりにくい」納得の根拠 というのも、定年間際になると自分の人生の先が見えてきて、仲間と競争する意欲もなくなり、素直な気持ちで接することができるようになるからです。
このように精神的な余裕ができることに加え、時間的にも余裕ができるため、昔を振り返る気持ちになってくるのでしょう。 そんなふうにして集まった同窓会には、20年ぶりとか30年ぶりに会う仲間もいるはずです。 中には、学校の成績が良く名門大学に行き、大手商社に入った友人もいるかもしれません。 昔だったら、劣等感や対抗心から普通に話すことができなかったかもしれませんが、定年してしまえばそんなことは関係ありません。
かつてのわだかまりを忘れて、一緒に過ごした青春時代を語り合いたくなるのです。 懐かしく若い時代を語る、そういう会はいいものです。 ですが、同窓会も何度か繰り返し開催されるようになると、毎度同じ人しか集まらないようになります。 そして、そこで交わされる会話も、どうしても同じ話になってきます。 健康状態が良くない、仕事を失敗したというような仲間は、なかなか同窓会には現れません。同窓会に出てくるのは、どうしても同じメンバーです。
さらに、年齢とともに、現役で働いていた人も引退していきます。 そうして、新しい体験を聞くチャンスがなくなり、定年後の悠々自適な暮らしをするメンバーで、同じ昔話をするだけになってしまうのです。 つまり、話に新しい情報がなくなるのです。 同窓会に情報を仕入れに行っているわけではないので、新しい情報は必要ないかもしれませんが、せっかく人に会って話をしても、いつも同じ内容では、脳を刺激するという意味においては、あまり役立たなくなります。