WBC侍ジャパンを待ち受ける米国でのもうひとつの試練
高代氏は、同書でスケジュールについては大会運営側と事前に交渉しておくべきだと提言していたが、4年たった今回も、スケジュールについての改善はされていなかった。また同じ試練が待ち受けているのだ。 疲労度がピークの中で、灼熱のアリゾナで2試合、18イニングを消化しなければならないのは、いくら体力もトップ級の選手が揃っているとはいえ厳しい。すでに1次、2次ラウンドを経て、使える選手と使えない選手の分別は、チーム内でされつつあるが、望んでもいない2試合を消化するために、選手起用にまで気を使わねばならないのは、首脳陣にとっても、選手にとっても酷だ。チームモチベーションの問題もかかわってくる。 しかし、もうスケジュールが組まれてしまった以上、調整方法を考えて対処するしかない。 小久保監督も、「本来であれば少し疲労を抜くことを考えたいが、2試合組まれているので、調整しながらうまく疲労を抜かないといけない。時差もある。それに気候も違う。アリゾナは暑くて、(準決勝の)ロサンゼルスに行くと夜が寒いこともある。事前の情報は入れているが、選手がしっかり対応していかないといけない」と、注意を払う。 一方、日本が対戦するグループFのアメリカ、ドミニカ、プエルトリコ、ベネズエラの4チームは、現在、サンディエゴで2次ラウンドを行っているが、その最終戦は18日(日本時間19日)。プレーオフとなれば、翌日の19日(日本時間20日)に、もう1試合、行われるが、アリゾナにいる日本よりも、準決勝までの試合間隔の余裕が1日ある。 完全アウェーの中で、2次ラウンドで戦ってきたチームとは格段にレベルの上がるオールメジャーの相手と激突するのである。V奪回に向け、いかに好調を維持して準備を整えるか。戦いはすでに始まっている。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)