阿蘇山上の廃屋2棟、撤去へ 熊本・南阿蘇村、国・県と協力 火口周辺の景観向上目指す
「阿蘇の国立公園として価値を落としている」。環境省阿蘇くじゅう国立公園管理事務所は、窓ガラスが割れ、寂れた雰囲気を漂わせる廃屋を長年問題視してきた。2009年には村と県、阿蘇市が公費などで別の廃屋2棟を撤去済み。今回の撤去で山上広場一帯に目立った廃屋はなくなる。 環境省は、訪日外国人の増加やブランド力向上を目指し「国立公園満喫プロジェクト」を展開。国立公園の魅力を活用し、大都市に集中しがちな訪日客を地方に誘導する狙いがある。財源は19年に始まった、日本からの出国者に1人千円を課す国際観光旅客税(出国税)を充てる。 廃屋撤去に使う国の補助金は、行政と民間事業者らが策定する利用拠点計画に基づく、地域一体となった施設整備と民間投資の呼び込みなどが前提。環境省と県、阿蘇市、南阿蘇村、事業者らは既に計画策定を終えている。民間による投資について南阿蘇村は、「飲食だけでなく阿蘇の文化や自然保護を学ぶ場などを想定している。多くの人の意見を聞いた上で、拠点にふさわしい企業を募りたい」という。
前回、廃屋2棟を撤去した際、費用を行政が負担することに疑問の声もあった。阿蘇くじゅう国立公園管理事務所は「撤去は今の時代に沿った観光拠点に再編成することに寄与する。阿蘇の良さを伝え、ひいては地域活性化に貢献する効果が期待できる」と説明する。(宮崎あずさ)