災害時に生かす農地 三大都市圏1500ha超に 阪神・淡路大震災契機に設置
22年 7.3%増に
17日で29年を迎えた阪神・淡路大震災を機に設置されるようになった防災協力農地が増えている。農水省によると、三大都市圏での設置面積(2022年3月末時点)は1500ヘクタールを超え、前年を7・3%(104ヘクタール)上回った。能登半島地震でも農業用ハウスが避難所として使われるなど、防災協力農地の重要性が改めて確認され、同省は自治体に設置を呼びかける。 農業用ハウス内に生活用品を持ち込み、寝泊まりする被災者 同省の22年3月末時点の調査によると、同農地の99%以上が集中する三大都市圏での設置面積は1532ヘクタールだった。2年連続の増加で、ピークだった16年の1655ヘクタールに近づいている。 都府県別に見ると、東京都が最も多く、前年比18・3%(159ヘクタール)増の1023ヘクタールだった。東京都練馬区の担当者は「同農地への期待は高い。一方で使用後の原状復帰など農家の負担をどう取り除くかが課題だ」(都市農業課)と指摘する。 一方、三大都市圏で設置に取り組む自治体数は前年比1減の73。埼玉県北本市、大阪市、大阪府枚方市の3市が増えた一方、埼玉県坂戸市、東京都八王子市・多摩市、愛知県稲沢市の4市が減った。 今月1日に発生した能登半島地震では、農業用ハウスを避難所として使う住民が多く見られた。同省は「緊急時に避難先として農地を活用する意義が確認された。防災協力農地の設置を増やす追い風にしたい」(農村計画課)とする。災害時に飲用水にも使える井戸を同農地に整備する費用を全額助成する事業などを通じ、同農地の設置を後押ししていく方針だ。
<ことば> 防災協力農地
災害時に①避難場所②資材置き場③仮設住宅の建設地④避難所への農作物の供給──などに活用される農地。市区町村が農家やJAと協定を結ぶなどして設置する。
日本農業新聞