熊本県内路線バス5社の輸送人員、3年連続増 23年度 中心市街地から郊外へ、夜遅い便が好調
熊本県内のバス事業者5社による2023年度の路線バス輸送人員は2449万人となり、前年度から1割（9・6%）増えた。新型コロナウイルス禍を過ぎて回復基調にあり、3年連続の増加。午後10時以降、飲み会の帰りに利用する人も目立っている。 5社でつくる共同経営推進室によると、コロナ禍前の19年度と比べても、23年度の輸送人員は91%台まで回復した。社会経済活動が盛んになった結果、熊本市の中心市街地から郊外へと向かう夜遅い便が好調に推移したという。 午後10時以降に通町筋バス停で乗車した推計人数は、20年8月には8030人まで落ち込んだが、徐々に回復。23年8月は1万6504人に増えた。今年の8月は月末に台風の影響で計画運休したものの、1万6228人と前年からの大きな落ち込みはなかった。 詳細なデータは、共同経営推進室が10月1日に公表する予定。高田晋室長（熊本都市バス社長）は「客足は回復しているが、慢性的な運転手不足で減便を余儀なくされており、申し訳ない」と話す。
23年度は、営業中の路線の全走行距離が5社合計で約2356万キロ。減便の影響で前年度から1・6%短くなった。24年度は、時間外労働（残業）の上限規制が適用される「2024年問題」の影響を受け、減少は続くとみられる。 23年度末に在籍した運転手は939人と、1年間で12人少なくなった。22年度は1年間で35人減っており、減少幅は縮小した。 その理由について、共同経営推進室は運転手の待遇改善のほか、初めて実施した5社合同の就職説明会の効果を挙げた。新入社員は中途採用を中心に22年度より12人多い63人を確保。退職者（75人）の8割強を補った。 5社は熊本都市バスのほか、九州産交バス、産交バス、熊本電気鉄道、熊本バス。（立石真一）
