【先行公開】話題の手記「わたしと日産」に書かれている「ゴーンが日産会長の座から陥落した日」
---------- 高度成長、バブル、経営危機、V字回復、そしてゴーン逮捕──カルロス・ゴーン会長のもと、日産社長を務めた男はそのとき何を考えていたのか? 元・日産社長による衝撃の回顧録『わたしと日産 巨大自動車産業の光と影』が5月15日に刊行される。赤裸々に明かされる白熱の手記の中身を明かそう。グローバル化の渦中にいる全ビジネスマン必携の書だ。(文中敬称略) ---------- 【写真】GSとリーマン 投資ファンドを手玉に取った日本人がヤバすぎる
カルロス・ゴーンの担当検事と日産社長の密会
「東京地検特捜部がカルロス・ゴーン会長立件へ向けて動いている」という情報をつかんだ西川廣人社長は、密かに担当検事との直談判に挑む。 〈丸の内にあるホテルの一室で担当検事と面会した。 形のうえではゴーン会長の関係者の一人に対する事情聴取であり、私は質問される側だったはずだ。しかし私はゴーン会長の不正行為については全くなにも知らなかった。だから実際は担当検事の質問とその背景説明を通じて、私の方が不正事案の詳細や捜査の焦点を教えてもらう形になった。 検察は捜査を進める中で「社長の西川は不正に関与していない」との確証を得たため、私を秘密裏に呼び出したのだろう。〉(『わたしと日産』25ページ) 検事との面会を終えると、西川社長は東京地検特捜部からの攻勢に備えてヤメ検弁護士を招集し、日産を守るための体制構築に尽力する。 〈私が不正の報告を受けてからゴーン逮捕まで一ヵ月余りかかった。その間、何もせずに指をくわえていたわけではないが、外から見れば「いったい何をぐずぐずしていたのだ」と思われるかもしれない。 実はその間も東京地検特捜部の捜査が進んでいて、ゴーンの不正行為の一部が刑事事件に発展すると想定されていた。日産の事情だけを優先して動くことはできない状況にあったわけだ。 まずゴーン本人が日本にいないという問題があった。 もちろん毎月日本に来てはいたが、普段はフランスをはじめ海外を飛び回っていたのだ。次の訪日まで捜査当局がゴーンに接触するのは難しい状況で、日産としても表だって動くことはできなかった。〉(『わたしと日産』33ページ)
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