星組トップ礼真琴のエドワード 老いた姿も若き日々も多彩に熱演
星組トップ礼真琴主演のミュージカル「BIG FISH(ビッグ・フィッシュ)」が5月30日、東京・東急シアターオーブで開幕。16日まで上演されている。 歌、ダンス、芝居ともに高いレベルで3拍子そろうトップスターが、老け役でも魅了した。 息子役の人気スター極美慎らを相手に、ゆったりした演技で貫禄を示したかと思えば、ふんだんにある回想場面では、はつらつとした青年期を声色も変えて表現。メリハリをつけて多彩な顔を見せ、その多才ぶりを発揮した。 今作は、ダニエル・ウォレスの小説をもとに、03年にジョン・オーガスト脚本、ティム・バートン監督により映画化、13年にはブロードウェーでミュージカル化。稲葉太地氏の潤色・演出で、今回が宝塚初演となった。 まるで「おとぎ話」のように自らの人生を語り、周囲を独自の世界観に引き込んでいくエドワード・ブルームに、礼がふんした。 「未来を見通す」と言う魔女、道中出会った巨人、最愛の妻サンドラとの出会い…。エドワードの奇想天外な「半生を語る物語」に、息子ウィルは夢中だったが、やがて成長し、大人になるにつれ、父の物語を「創作」と断じ、距離を置くようになる。 父の足跡をたどり、思いを受け継ぐ息子、家族愛を描く物語が展開していく。 礼演じるエドワードの妻サンドラは小桜ほのか、回想場面での若き日のサンドラは詩ちづるが演じた。 開幕前日だった5月29日には、同所で通し舞台稽古を行い、最終確認。礼は「この作品、幕の後ろで、すばらしい演奏をしてくださっております」と、紹介したオーケストラに感謝しつつ、幕開けに備えていた。【村上久美子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「宝塚~朗らかに~」)