徳島県営水力発電所 25年度から売電価格2割アップ 競争原理働く
徳島県の水力発電所で2025、26年度に発電される電力について、売電価格を含むプロポーザル(企画競争入札)を公募したところ、現状より2割高い価格が提案された。再生可能エネルギーとして「環境価値」もある電力を1円でも高く売ることを目指していた県企業局が、手にした売電価格は――。 【写真まとめ】全国で公害化する太陽光発電 出現した黒い山、田んぼは埋まった 県企業局は県南部の那賀川など2河川で四つの水力発電所を持ち、最大出力は計8万7500キロワットだ。中でも、日野谷発電所(那賀町)は、揚水式を除くと自治体が持つ水力発電所としては国内最大の出力6万2000キロワットを誇る。電力は全て四国電力(高松市)と契約を結び、売電してきた。今年度は1キロワット時約10円という15年契約の最終年度のため、売電単価のアップを目指していた。 売電価格や料金制度などを募ったところ、日野谷など3発電所の「一般枠」には県外の新電力を含む3事業者から、県内事業者に限定した坂州発電所(那賀町)の「県内枠」には2事業者から、それぞれ申し込みがあった。 地域貢献や経営確実性などを含めて審査した結果、「一般枠」には四国電力が、「県内枠」には那賀町も出資する新電力「なかよし電力」(那賀町)が、それぞれ選ばれた。 四国電力の提案は1キロワット時当たり12・18円で、現契約の10・01円から2円以上アップした。過去30年の平均発電量(年3億1510万キロワット時)なら、38億3791万円となる。このうち、8割は売電量にかかわらず支払われる基本料金だ。 また、なかよし電力の提案は全て従量制で1キロワット時単価は12円。年間で6720万円の売電収入を見込んでいる。 両事業者を合わせると、県へ1年間に支払われるのは39億511万円で、今年度から2割増となる。 再エネは化石燃料由来のエネルギーに比べ、高く評価される傾向にあったのに加え、県企業局は「競争原理が働いた部分も大きい」と分析している。 県は、29日開会の定例県議会に、契約相手や売電価格などの関連議案を提出する予定で、議決後、契約などの手続きを進める方針。水力発電所の多くは運転開始から60年を過ぎており、県はいずれ必要となる大規模改修などに必要となる資金も賄いたい考えだ。【植松晃一】