機能性食品は「根拠の質が低い」とわかるのが長所、健康食品業界38年の識者が指摘「制度の功罪」
次に品質管理体制の確認方法について、GMP(Good Manufacturing Practice、適正製造規範)*の義務化が重要な論点となる。健康被害状況の届け出体制に関する議論も急務だ。今回の見直しで、有害事象が起きた場合の報告が義務化されるのではないか。「○日以内に」と報告までの期限も決められると思う。 エビデンスの質向上についてはもっと時間をかけて議論されるだろう。 *GMP:原材料の受け入れから製造、出荷まですべての過程において、製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるようにするための適正製造規範。サプリメント形状の加工食品については、厚生労働省がGMPガイドライン等を示して自主的取組を推進している。今後、機能性の観点も含めたGMPの検討が期待される(消費者庁、機能性表示食品の届出等に関するガイドラインより)
■透明性の高さがメリット ――エビデンスを自社でつくることの見直しも必要でしょうか。 それは必要ないと考えている。アメリカやオーストラリア、ニュージーランドでもエビデンスは事業者が作っている。 エビデンスの質が低いとわかることが、日本の機能性表示食品制度のよいところだ。透明性が高いから質が低いとわかる。アメリカではエビデンスは公表されていないので、質はわからない。この点で、今でも機能性表示食品制度は世界最先端だと思っているし、胸を張れる。社会が監視してモニタリングする制度といえる。
――透明性は高くても、それを理解できる消費者は少ない。 その通りだ。一般消費者はエビデンスを見てもわからない。そのためアカデミアや消費者団体が時々チェックしている。ここから先は業界団体でどこまで自浄作用を発揮できるかが重要になる。国の周知も足りていない。消費者庁には出先機関がなく、限界があるのだろう。 ■サプリは切り分けて考える必要性も ――カプセル・錠剤型のサプリは機能性表示食品の中でも特に問題視されているのでしょうか。