会の政務活動費 透明性高く 「使い道もっと」思う市議も 長野県松本市
政治資金や政務活動費の使途に国民から厳しい目が向けられる中、松本市議会(定数31)は政活費について、領収書の写しを公開するなどして高い透明性を保っている。しかも支給額は1人当たり年額25万円と、全国の中核市62市で最も少ない。判例に照らして厳格に運用する状況下で見直しの動きは出ていないが、一部の議員から「もう少し使いやすいとありがたい」との本音も漏れる。 政活費は会派ごとに支給され、昨年度(市議選があった4月を除く)の支出総額は456万7299円。予算執行率は64・3%で残金は市に返還している。令和元年度は80・9%と高かったが、2年度は新型コロナウイルス禍で17・7%に激減。その後は増加に転じ、4年度は34・4%だった。 政活費の額は平成13(2001)年の条例施行時から変わらない。支出は議会事務局、行政管理課に「ダブルチェック」されるため使途を事前に相談する会派もある。「厳しい運用に慣れ、特に不都合を感じない」という議員の声に加え、「政治とカネ」の問題への国民の関心が高いこともあり、見直しの議論はされていない。 ただ、改善を求める声は潜在している。 政活費は、会派で行う行政視察、研修会参加、広報紙の発行、図書購入などに充てられるが、個人活動には使えない。ある会派の男性市議は「会派内の合意があれば個人的に使える部分の幅を広げてもいいのではないか」と話す。 他の中核市と政活費(年額)を比べると、松本と人口規模が近い北海道函館市は54万円、山形市は120万円。県内では長野市が102万円と、松本とは大きな開きがある。ある男性市議は厳格な運用に理解を示しつつ「使途を拡大するなら金額も見直すべき。議員のなり手確保の一助にもなる」としている。
市民タイムス