「絶妙な適当感」がある師匠吉幾三さんが新曲で描く国道246号の景色 “真田節”で歌う弟子の意気込み
【東日本大震災きっかけに歌手を志した演歌歌手真田ナオキさん】
演歌歌手の真田ナオキさん(34)の新曲「246」が今月22日に発売されます。作詞・作曲は師匠の吉幾三さん。東京都心の国道246号を舞台にした、ポップな演歌です。キャンペーンで福岡を訪れた真田さんに、新曲への意気込みや師匠の魅力を尋ねました。 -新曲「246」が今月22日に発売されます。 ★真田 これまで「恵比寿」「渋谷で…どう?」など都心の街を歌わせてもらうことが多く、その流れもあります。師匠がまた新しく僕に合うように、今回も「“真田節”で歌え」と言っていただきました。いい意味でも悪い意味でも僕にしか歌えない一曲になったかなと思います。246号は東京-静岡を結び、九州には通じていませんが、景色が見えるような楽曲なので、ぜひ皆さまに歌っていただければ。 -作詞・作曲は吉幾三さんです。 ★真田 独特な歌詞の世界で、ちょっと想像させる部分があります。この「246」でも、車を止めてハザードランプをつける場面があり、行く場所を選んでいるのか、2人でゆっくりしゃべっているのか。分かりやすいようで、どこか想像させてくれます。あと、繰り返しの言葉が多い。「雪國」もそうで、ご自身もおっしゃっています。ジャンルとしては、演歌でも歌謡曲でもなく“吉幾三”というジャンルかな、と。それが魅力だと思います。 -師匠の人間性は。 ★真田 絶妙な適当感ですね(笑)。力の抜けた感じ。肩ひじを張るような師弟関係ではなく、親子関係というか。なるべく師匠に近づきたいと思っています。師匠や先輩方を近くで拝見していると、自分も自然体で自由にフランクに、と思っています。 -ところで、歌手になったきっかけは東日本大震災とか。 ★真田 当時、地元のさいたまスーパーアリーナが被災者の避難所になっていて、自分が何もできない心苦しさがありました。そんなとき、テレビで(被災地出身の)臼澤みさきさんの歌を聴いて感動しました。当時は歌を勉強していなかったのですが、歌と出合って、こういう仕事をしたい、と思いました。 -子どもの頃は野球をしていたそうですね。 ★真田 今考えると練習量は多かったんですが、当時は普通だと思っていました。やれることがうれしかった。苦しいところに楽しさを見つける。歌にも通じる部分がありますね。 -同じ演歌歌手の新浜レオンさん(元野球部)と、全国の野球チームを訪問する企画に参加しています。 ★真田 ロケは2回ほどですが、いろんなところの野球部とか独立リーグ、女子野球の方々とも練習しました。周囲から「けがはしないように、声を張り上げすぎないように」って言われますが、やり始めるとストップがかからない(笑)。楽しくなっちゃう。頭で考えすぎず、自分の気持ちのまま、やっています。 -新曲のキャンペーンで、こうして地方を回ることについて。 ★真田 演歌・歌謡曲のファンはご年配の方がたくさんいらっしゃいます。20~40代だとフットワークも軽く、全国どこでも見に行ける。でも地元の近くにしか行けない方も多い。なので細かく地方を回る意義はあると思います。またコンサートでは、客席に降りて握手をしながら歌う「ラウンド」という手法があります。それはJ-POPではありえない。つながりの深さですね。小さな会場で皆さまの近くで歌う方が自分には合っています。 -九州の印象はどうですか。 ★真田 福岡空港に最初に降りた時、街なかがこんなに近いのに驚きました。街がぎゅっと凝縮されているイメージですね。あと、とにかくご飯がおいしい。魚介、山菜、何を食べてもおいしいですね。 (文と写真・根井輝雄) さなだ・なおき 1989年12月22日生まれ、さいたま市出身。小学生時代は野球に打ち込み、5年生で若年世代の日本代表に選ばれるが、けがのため辞退。2011年の東日本大震災をきっかけに歌手への道を決断し、16年「れい子」でデビュー。20年のシングル「恵比寿」で日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。