日本で「ユニコーン企業」が育たない理由とは?株式会社SmartHR芹澤雅人代表取締役CEO「日本の市場は限られている」「外に目を向けないと難しい」
◆ユニコーン企業「SmartHR」が求める“人材”
昨年SmartHR社は約300人を採用しましたが、芹澤さんは「今年はさらに(人材採用を)加速していきます!」と声を大にします。この言葉に笹川から「どんな人材を求めているのでしょうか?」との質問が飛ぶと、「私たちは、社内で自社のことを『スタートアップ』ではなく『スケールアップ企業』と呼ぶようにしています」と芹澤さん。 というのも、これは社外の対外的な印象を意識したもので、「“スタートアップ”と言うにはちょっと(企業規模が)大きいですが、まだまだ大企業ほど安定しているわけではないので、もっと(会社の)急成長を貪欲に追い求めていくために」と意図を述べたうえで、「(スケールアップ企業の)特徴としては、急激な製品・サービスの“市場のシェア拡大”と“組織の急成長”、この2つがキーなので、ここに関して創意工夫と努力で追い求めていけるような人たちは、(人材採用で)まだまだ求めたいところですね」と強調します。 さらには、「“人間にしかできないこと”というのは“アイデアを出していくこと”だと思うんですよね。なので、いろいろなことに興味を持つこと。アイデアって“既存のものと既存のものの組み合わせが発明になる”ってよく言われるんです。ということは、言ってしまえば誰でも(アイデアを)見つけられると思うので、そういった発明をして、それが自分の業務にどう活かせるのかを考えていくことが大切だと思います」と語ります。
◆日本でユニコーン企業があまり育たない理由とは?
最後に、日本でユニコーン企業がなかなか育たない理由についても言及。芹澤さんいわく、その大きな理由は2つあり、1つは、日本のスタートアップの市場が“ドメスティック(国内的)”であること。「国内で勝負しようとするスタートアップ企業がまだ多いにもかかわらず、日本の市場ってものすごく限られているので、外に目を向けないとユニコーン企業になるのは難しい」と断言します。 そして2つ目に、「ユニコーン企業を立ち上げて、ガツンとキャピタル・ゲイン(保有する資産を売却することによって得られる売買差益)で財を成すことに対するリアリティさが、日本ではまだまだ少ないと思います。シリコンバレーではそういった例をよく聞きますけど、日本はまだそういう例が出にくい」と指摘。 そして、「そこに憧れて(会社を)立ち上げる人が少なかったり、日本の法律的なところでもキャピタル・ゲインに対する柔軟性が欧米諸国に比べるとまだまだ足りないと思います。なので、このあたりを改善していくと、もうちょっと“ユニコーン企業をつくりたい!”というアントレプレナーシップ(リスクを恐れずに新たな事業を創造する精神・姿勢)を持った人が増えてくるんじゃないかと思います」と提言しました。 (TOKYO FM「DIGITAL VORN Future Pix」3月16日(土)放送より)