マスク氏と会ってきたTSMC会長「世界最高の富豪の関心事はロボット」
テスラが自動車より人工知能(AI)ロボット開発に注力しており、このために半導体供給をTSMCに依頼したとTSMCの魏哲家会長が話した。彼はもまた、台湾総統に台湾がロボットとドローンで機会をつかまなければならないと話した。 ◇「チップ不足」のテスラ、TSMCと密着するか 台湾経済日報など現地メディアによると、16日に台湾の台北で頼清徳総統主宰により開かれた第12回国家科学技術会議に演説者として出た魏会長は「数日前に世界最高の富豪と話したが、ヒューマノイドロボットが最も重要で、自動車ではなくロボットに大きな努力を注いでいると話した」と述べた。魏会長は「世界最高の富豪」の実名には言及しなかったが、台湾メディアは彼がテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)を示したと一斉に報道した。テスラはヒューマノイドロボット「オプティマス」を開発中で、10日には滑りやすい坂道をバランスを取りながら下りていくオプティマス2の映像を公開している。 続けて魏会長は「世界最高の富豪が『だれも私たちにチップを提供しないのではないかと心配』と言うので、私が『お金さえ出せばいくらでもチップを提供する』と答えた」と冗談を混ぜて話した。テスラは車・ロボット自動運転AIモデルを訓練するためのスーパーコンピュータシステム「Dojo」を構築しているが、ここに使われるチップはTSMCのファウンドリー(委託製造)で製造する。TSMCは5月に自社ファウンドリーと先端パッケージング技術を使ってDojo用チップの量産を始めたと明らかにした。 ◇ビッグテック「起承転AI」、独占狙う台湾 この日魏会長は「チップが不足するので顧客がとても礼儀正しく接してくれる」と話した。彼は最近米サンフランシスコに出張したが、ビッグテック経営陣に会ったと推定される。 自動車会社のテスラだけでなく、グーグル(検索)、メタ(ソーシャルプラットフォーム)、アップル(スマートフォン)などビッグテックは既存の事業分野を問わず独自のAIチップとインフラ確保に力を入れている。ビッグテックの「起承転AI」の歩みに笑うのは台湾の製造と米国の設計だ。先端工程とパッケージング競争力でリードするTSMCのファウンドリーシェアは64.9%に達し、ビッグテック向けチップを設計するブロードコムの株価が今年に入ってだけで130%上昇し時価総額1兆ドルを突破した。韓国の業界では「韓国の半導体がAI特需から疎外される危機」という話が出る。テスラの自動運転用チップはサムスン電子ファウンドリーが生産しているが、同社が注力するAIスーパーコンピュータDojoはTSMCが受注したのが一例だ。 台湾は産学研官が一致協力してAI特需をつかみに出た。4年ごとに台湾の科学技術政策方向を決める国家科学会議が開かれるが、16日から3日間開かれる第12回会議には頼清徳総統主宰で国家科学技術委員長と主要省庁トップら、国立台湾大学と台湾経済研究院など学界と研究界、TSMCとグーグル台湾などが一堂に会した。魏会長は「今後ロボットとドローン分野で台湾の重要性はもっと大きくなるだろう」とし、頼総統は「台湾の技術が世界経済に完全に統合されなければならない」と話した。