箱根駅伝Stories/2年連続3冠達成へ欠かせない仕事人、駒大・花尾恭輔「走れなかった1年前、今季の悔しさは誰よりも強い」
ケガを経て精神的に成長
それでも8月上旬に練習へ復帰。徐々に強度を高めていった。1年前はチームの先頭に立って夏合宿の練習を引っ張っていたから、「チームに申し訳ないという気持ちの方が強かったです」と言う。その立場で、「4年生として何ができるのか」を花尾は探していた。 全日本で選手のサポートに勤しむ姿には、そんな花尾の思いがにじんでいた。本人は「自分にできることはそれくらいでしたから」と受け流す。 さて、選手・花尾の現状はどうか。出雲を回避することは織り込み、全日本へ向けては態勢を整えた。7ヵ月ぶりの実戦レースとなった上尾シティハーフで1時間2分39秒。これに藤田監督は「悪くはないが良くもない」と辛口評。期待はもっと上にあることの表れだろう。 花尾自身は昨年より何かを強化できたとは言えないとしつつ、「気持ち的に強くなりました。何事もプラスに捉えられる。そんな気持ちの変化がありました」と話す。それが箱根駅伝のパフォーマンスにのせられたらおもしろい。 「走れなかった1年前、今季の悔しさは、どの大学のどの選手よりもあります。走らなくてはいけない立場だと思うので、持ち味を出せるところでしっかり走りたい。走って、チームに残せるものがあると思うんです」 近未来はマラソンでの活躍を描く。自身の再起動が、チームへの恩返しになる。 はなお・きょうすけ/2001年5月18日生まれ。長崎県大村市出身。長崎・桜が原中→鎮西学院高。5000m13分51秒89、10000m28分29秒82、ハーフ1時間1分37秒
奥村 崇/月刊陸上競技