日本神話好き全員に読んで欲しい純”倭”風ファンタジー『峠鬼』が全話無料配信中。まだ人と神々の距離が近い古代日本を舞台に、諸国の神様巡りをする道中を描く。神話テーマだけどSFっぽくもあり、読むと神社にお参りしたくなる物語
「ハルタ」で掲載中の漫画『峠鬼』が、最新7巻の発売を記念して、既刊6巻すべてを無料で配信している。無料配信の期間は8月10日の午前11時まで。 同作は鶴淵けんじによる、八百万の神々を題材にしたファンタジー作品だ。舞台となるのは現代から1000年以上も昔の、まだ”倭”と呼ばれていた古代日本。例えば聖徳太子や天智天皇の時代であり、さらに言えば「山に神、峠に鬼」がいるとされていた、神話と地続きの時代でもある。 神々はまだ人々のごく身近な存在ではあるものの、次第に力を失って地上からは姿を消しつつある。物語の主人公である役小角(えんのおづの)は、そうした神々のもとを巡り、時に生贄の少女を救い出したり、時に厄介ごとを押しつけられたりしながら、地上に残った最後の神、「善事も悪事も一言で真にする」力を持つという、一言主(ひとことぬし)に会う方法を探して諸国を巡っている。 日本神話的なものをベースにしつつも様々な要素がミックスされており、ある時はファンタジックな、ある時にSFのような、そしてある時にはコズミックホラーめいた物語が展開される。好きな人にはめっぽう刺さる、独自の世界観が魅力の作品だ。 八百万の神々が御座す土地を舞台にしているだけあって、本作にはさまざまな神様が登場する。日本神話の神様と言えば、角髪(みずら)を結って直剣を差した偉丈夫のようなイメージが強いが、本作の神々は人知を超えた途方もない存在であり、その姿も恐ろしい怪物のように見えるものだ。 ただし、強大な力を持った古の神々はおどろおどろしく描かれる一方で、びっくりするほどフランクな一面を見せてくることもある。親しみやすさと畏さを併せ持った存在であり、それが重すぎず・軽すぎない作品全体の絶妙な空気を生み出している。読むと、家の近くの神社でお参りしたくなってしまうような親近感が湧いてくるのだ。 また一方で、巻を追っていけば神話の時代と実際の歴史が交叉するかのような展開も現れてくる。最新刊近くでは古代日本を揺るがしたある大戦の足音も聞こえており、上古の世界に興味がある人にもぜひおすすめしておきたい。 今回の無料公開は8月9日の11時まで。すべて読み終われば同じ8月9日には最新の9巻も刊行予定となっている。
電ファミニコゲーマー:恵那
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