考えずに色を混ぜる:2025年に始まるファッショントレンド「ミキシマリズム」とは?
「今年のファッショントレンドは(~中略~)大胆な柄や多様なプリント、虹のように色を重ねた究極のミキシマリズム(Miximalisme)です」。Pinterestで公開されたファッションの最新レポートでは、2025年の主要トレンドのひとつ「ミキシマリズム」がこう紹介された。これまで唱えられていたクワイエットラグジュアリーとは全く異なる、色を多用した個性的なスタイルトレンドを色彩のエキスパート、ジャン=ガブリエル・コースが解説する。
ミキシマリズムとは、2つの要素を組み合わせた造語で最初の「ミキシ」は混ぜること、後半の「マリズム」は過剰で豊かなものに美しさを見出すことを指す。つまりPinterestの予測では、2025年のトレンドスタイルは、必ずしも調和しないモチーフ同士やカラー同士を組み合わせること。このトレンドは、インテリアにもファッションにも当てはまりそうだ。
これまでは、"3色でコーディネートの原則"(やぼったく見せないために3色以内でコーディネートしようというカラールール)が唱えられていたけれど、色彩の専門家で『色の力 消費行動から性的欲求まで、人を動かす色の使い方』(日本では吉田良子訳、CCCメディアハウス刊)の著者である、ジャン=ガブリエル・コースに言わせれば、これは極めてフランス的な"エレガンスの指針"なのだそう。「3色までと考えること自体、3つの音だけでシャンソンが作れると言っているに等しい考え方。フランス人の多くがビビッドカラーを恐れています。1色使うだけでも一苦労で、それ以上なんて考えも及ばないでしょう」。 さらに続けてこうも指摘する。「たとえば同系色で考えてみましょう。色合いがバラバラのベージュのクッションを3つ並べたら、チグハグになりがちです。ですが10個並んでいたら、収まりがいいかもしれません。今回のトレンドは、複雑さが調和をもたらすものなのです」。
ランウェイではこれまで、シックで控えめなクワイエットラグジュアリーが主流だった。ここ2年ほどはミニマリズム全盛時代だっただけに、今回のトレンドには意外性を感じる人もいるだろう。ところが、ミキシマリズムは流れを完全に逆転させる。陽気なビタミンカラーを直感的にコーディネートして着る時代がやってきたのだ。真っ赤なセーターにワインレッドのレザージャケットを合わせ、マスタードイエローのベルベットパンツ、フォレストグリーンのストラップシューズといった感じ。 この最新トレンドには、色に関するこれまでのタブーやルールを一掃する効果がありそうだ。これまで「ピンクと赤」「紫と緑」「ネイビーと黒」「オレンジと黄色」は避けるべき色の組み合わせだったけれど、何十年も前からタブー視されてきたそんな組み合わせも「あり」になる。プリントもしかり、ストライプとドット、チェック柄と千鳥格子、ヒョウ柄とパイソン柄をミックスしたってOK! 2025年のパントン・カラー・オブ・ザ・イヤーであるブラウンカラー「モカムース」なんておとなしすぎて古臭く感じるぐらいだ。