下から見る甲子園は広かった 光の女子部員、夢の7分間 センバツ
第95回記念選抜高校野球大会は第5日の22日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2回戦があった。第1試合の光(山口)―彦根総合(滋賀)戦の試合前練習で、女子部員として初めて正式にノック補助を行った光のマネジャー・西原さくらさん(3年)。自身も「野球少女」だった西原さんにとって、甲子園は昔から憧れの場所だった。「下から見る甲子園は広かった」と夢のような「7分間」を笑顔で振り返った。 【光vs彦根総合の試合を写真で振り返る】 甲子園球場にサイレンが鳴り響くと、西原さんら光の部員たちがシートノックを開始した。西原さんは今大会のために部員から借りたSサイズの「ぶかぶか」のユニホームを着用。ヘルメットを付けて、宮秋孝史監督の後ろについて、スピーディーにボールを渡し、内野ノックの補助を完璧にこなしてみせた。 西原さんは小学4年の時に軟式野球チームで野球を始め、中学でも続けた。ポジションは主にライトで、中学では試合にも何度も出場したという。チームメートは自分以外はみんな男子だったが、一緒に汗を流し、白球を追っていた。 山口県内には女子野球部はなく、地元の光に進学。入学後も野球部で選手として続けたかったが、宮秋監督に「男子との力の差もあるので危ない」と止められ、マネジャーとして部のサポートに回った。 当初、女子部員は「危険」だとして、練習グラウンド内には入れず、グラウンドの外でドリンクの用意などのマネジャー活動をするだけだった。だが、昨年の新チーム発足後、「自分は経験者なので、できることは人よりあると思う。できる範囲でそれを生かすためにグラウンドで手伝いたい」と宮秋監督に直訴し、グラウンドでのノック補助などを行うようになった。 日本高校野球連盟は2022年7月に、試合中に審判にボールを渡す「ボールパーソン」や試合前のノックでノッカーにボールを渡すなどの練習補助を女子部員が行うことを認めた。西原さんも甲子園の土を踏むことが可能になった。 試合はアルプススタンドで応援した。チームは2―0で彦根総合に勝利し、学校として甲子園初勝利を達成した。 試合前ノックの後、宮秋監督から「良かったぞ」と褒められたという。西原さんは「監督さんはほんとにいつも厳しいんですよ。85点とか言われます。褒められてうれしかった。今日は100点だと思います」と照れくさそうに笑った。3回戦でもノック補助を行う予定という。【大東祐紀】