無敗も「気になる」逆転勝ちの多さ 福岡戦「偶然ではない」2回のファール【浦和レッズ「開幕5試合」で分かった現在地と大問題】(1)
2024年のJ1リーグが開幕し、第5節までが終了した。まだまだ先は読めないが、注目されるビッグクラブのひとつが浦和レッズだろう。そこで、ここまでの5試合で見えてきた浦和レッズの現在地、そして今後を、サッカージャーナリスト後藤健生がスクープ考察する。 ■【画像】「浦和ファンも惚れてまう」左足一閃! 浦和VS福岡「前半に失点」超低空ビューティフル弾!
■3月無敗も「先制点を許す」試合がほとんど
3月30日のJ1リーグ第5節で、浦和レッズはアビスパ福岡に逆転勝ち。3月の4試合は2勝2分無敗という成績で終え、順位も8位まで上げてきた。好天に恵まれ、集まった3万7826人の観客も「逆転勝ち」という結果に、一応は満足して家路に就くことができたことだろう。 だが、気になるのは3月を無敗で終えたといっても、前半のうちにリードされる試合がほとんどだったことだ。 第2節の東京ヴェルディ戦は前半42分にCK崩れの混戦の中から木村勇大に決められて大苦戦。89分にVARが介入して与えられたPKをアレクサンダー・ショルツが決めてなんとか追いついた。 第3節の北海道コンサドーレ札幌戦こそ1対0と完封勝利を収めたが、第4節湘南ベルマーレ戦は興梠慎三のゴールで先制したものの、前半のうちに逆転され、一時は1対3とされ、その後、点の取り合いの末に81分のサミュエル・グスタフソンのゴールで追いついて引き分けた。 そして、迎えたアビスパ福岡戦も、28分にシャハブ・ザヘディの強烈なシュートで先制され、後半に入って猛攻をかけて65分に右サイドバック酒井宏樹のクロスを左サイドバックの渡邊凌磨が決めて追いつくと、73分に相手のハンドによるPKをチアゴ・サンタナが決めて逆転した。 今回も、VAR介入によって得たPKだった。
■「前半に失点、後半に反撃」の試合がパターン化
前半は攻め崩すことができずに先制を許すものの、相手の体力が削がれる後半に入ってから個人能力の高さと選手層の厚さを生かして反撃。VARにも助けられて、なんとか同点にする。あるいは逆転勝利を収める……。 それが、このところの浦和の試合のパターンになってしまっているのである。 「逆転勝利できているのだから、それでいいではないか」、「それだけの個人能力の高い選手がいるのだから、浦和はさすがにビッグクラブだ」という考え方もあるだろう。だが、本当にそうだろうか? 同点に追いつけたり、逆転できたのには幸運もあった。 サッカーというのは、いくら完璧な形で攻撃を続けても、運が悪ければ、あるいは相手のGKが当たりまくれば、得点することが難しいスポーツなのだ。 能力の高い選手がそろっているのなら、前半のうちから試合をコントロールして、しっかりと複数得点を重ね、そして、相手をシャットアウトしてクリーンシートを達成する。そうした試合運びができないのであれば、これからも順調に勝点を積み重ねて優勝争いに加わることは不可能だ。 もちろん、今シーズンの浦和は新監督を迎えて、今までと違うやり方に取り組んでいるのだから、チームが完成するまでに、ある程度、時間がかかるのは仕方がないことだ。 だが、「今のまま時間が経過していけば、いつかは浦和がそういう王者に相応しい試合運びができるようになるのか」といえば、必ずしも見通しは甘くないように思えるのである。