「玄関の前に貼れない情報はネットにも書かない」 学年別、小学生からのネットリテラシーの伸ばし方
【小学5・6年生の場合】 小木曽:小学校高学年は、スマートフォンなど自分専用の端末を手渡すか、判断に迷う時期でしょう。子どもに端末を手渡す場合は、まずは「お試し」として、期間を区切って使わせるとよいです。 そのお試し期間を活用して、使い方の問題点や起きてしまったトラブルを、都度ルール化していくと、自動的にその子どもに合ったルールが完成します。冷蔵庫などに「我が家のスマホルール」などと書いた白紙の紙を貼り、問題が起きる度に書き足していくと、より効果的でしょう。ルールが〇個以上になったらお試し終了、といった約束を交わしておくことも重要です。 また必ず実行して頂きたいのが「お試し」が終わったら、いったん端末を回収すること。「お試し」は、親が安心できるまで何度でも繰り返しても良いのです。使い続ける場合も、お試し中だと分かってもらう為に回収してまた渡す。これは重要な儀式になります。 一点、白紙のルールに、保護者のかたのほうから最初に書き込んで欲しい項目があります。「自宅の玄関前に貼れるものは、ネットに書いてもよい。貼れないものは、ネットに書いてはいけない」。 ネットは不特定多数の人が目にする場所、つまり「外」であり、また問題を起こせばほぼ間違いなく個人が特定される場所でもあります。家の「外」で個人特定される場所=玄関ドアに、堂々と貼れる内容でない限り、ネットには載せない。これは自分や周囲の人たちを守るためにとても大切なことです。これを理解、約束できないうちは、端末を手渡すことは控えましょう。 高学年くらいから「ウチとよそ」という感覚を理解できるようになるので、このフレーズはイメージしやすいと思います。 また、アップル社やグーグル社が無償で提供している保護者用の管理アプリは必ず入れて下さい。
保護者はネットリテラシーをどのように身に付けていく?
小木曽:ネットリテラシーが重要なのは子どもだけではなく、保護者のかたも同じですが、あまり肩ひじを張らず、「良い機会なので子どもと一緒に学ぶ」くらいの気持ちでよいと思います。 ネットにネット特有のモラルはありません。日常でやってよいことはネットでもOK、日常でやらないことは、ネットでもやらない。迷った時はこれを判断基準に考えていくとよいでしょう。 大人がやるべきことは、ネットの世界で起きている「子どもを狙った犯罪」の最新状況を知ること、それをお子さんに伝えることです。ネット上で大人に狙われる子どもの多くは「騙されて」被害に遭っています。つまり本人に非が無いケースが多いのです。具体的にどういった手口で、どんな風に騙され、どんな被害に遭ったのか、ニュース報道などから得られる情報を適切に伝えてあげて下さい。 その際「騙された子も悪い、スキがあった」などのニュアンスは厳禁です。いざという時に相談されなくなってしまいます。誰でも被害に遭うのだという感覚を、日頃から親子で共有しておきましょう。 無理のない範囲で構いません。新しい情報にもアンテナを広げながら、少しずつネットリテラシーを積み重ねていきましょう。 取材・執筆:神田有希子 ※掲載されている内容は2023年12月時点の情報です。
プロフィール 小木曽健(おぎそ けん) 複数のITベンチャー勤務を経て現職。講演、メディア出演、執筆などを通じて、「ネットで絶対に失敗しない方法」や情報リテラシーに関する情報発信を幅広く行う。 著書: 11歳からの正しく怖がるインターネット: 大人もネットで失敗しなくなる本(晶文社)13歳からの「ネットのルール」 誰も傷つけないためのスマホリテラシーを身につける本 (メイツ出版)、ほか多数