茨城県警、防犯情報発信実る メールきっかけ 水戸の萩原さん、不明男性保護
茨城県警が発信している「ひばりくん防犯メール」で行方不明者の手配情報を把握していた女性が、見かけた高齢者を保護し、事件事故への遭遇を未然に防いだとして県警水戸署から感謝状を受け取った。県警は防犯メールや防犯アプリ「いばらきポリス」による情報発信で県民のディフェンス力強化につなげてきたが、今回の好事例は成果が実った形だ。 同県水戸市飯富町で11月8日午前9時ごろ、車で出勤中の同市、鍵・錠取扱業「水戸ロックセンター」代表取締役、萩原なつ子さん(56)が河川堤防の下で帰宅困難となっていた男性(74)を発見した。110番通報し、同署員が到着するまでの15分間、身の安全を確保した。 萩原さんは3年前から、スマートフォンで防犯メールの配信を受けられるよう登録。前日7日に送られてきた「自転車を使用する額に傷がある男性」の未帰宅情報を覚えていた。話しかけると、男性は自宅への帰り方が分からない様子だったという。同月28日に同署で開かれた感謝状贈呈式では「防犯メールがなければ、男性に気付いても素通りしていた」と振り返った。 県警によると、防犯メールは2007年に運用開始。県民が身近な犯罪から身を守るために必要な情報を希望者のパソコンや携帯電話にメールで配信するサービスだ。昨年3月から運用を開始した防犯アプリでも同じ内容を配信している。メール登録者数は最後に集計した同2月末時点で11万5991人だった。 今年の発信件数は10月末現在2764件で、前年同期に比べ534件多い。主な内容別では、ニセ電話詐欺が1068件(同比605件増)で最多。子ども・女性対象の犯罪や声かけ、不審者情報は366件(同比32件増)、行方不明者は341件(同4件減)、県警からのお知らせは337件(同23件減)、交通事故は87件(同47件減)となっている。 防犯アプリのダウンロード数は今年10月末現在19万2154件で、同規模人口の全国の警察本部の中ではトップクラス。昨年6月から進めている巡回連絡でアプリの登録を促していて、今年は毎月約4000~1万2000件ずつ増加。防犯メールをはじめとした情報の発信力を高めている。 同署の小森正彦署長は「もっと多くの人にメールを受信してほしい。そのためにも県警として読んでもらえるような内容に工夫することが必要」と語った。
茨城新聞社