八村塁の〝提言〟で浮き彫りになったバスケ協会の「初動遅れ」と「ドタバタ対応」
米プロバスケットボールNBAのレイカーズでプレーする八村塁(26)の発言を巡り、日本協会の渡辺信治事務総長が20日に栃木・宇都宮市内で取材に応じた。「重く受け止めている」と語ったが、すでに1週間近くが経過。初動遅れが指摘されている。 事の発端は13日(日本時間14日)。八村はグリズリーズ戦後の会見で「僕もNBAでやっている中で、強化というか子供たちのためとか、日本のバスケを強くしていくためにやってきている感じがあったけど、日本代表はお金の目的があるような気がする」などと持論を展開。世界の第一線で活躍するアスリートの提言は瞬く間に広がった。 一般的に騒動が生じた際は、初動のスピードが肝心と言われる。しかし、日本協会が会見を開いたのは6日後。渡辺事務総長は「五輪前の代表戦を含めてミスコミュニケーションがあり、彼に負担をかけてしまった」と原因を説明し、八村の代理人と先週末にオンラインで1時間弱面談したことを明かした。ただ、八村側との具体的な会話に関する言及はほとんどなかった。 今回の対応に関して、五輪選手などをサポートするマネジメント関係者は疑問を投げかけた。「バスケ協会は、こういった騒動に慣れていないのでは。今までNBAで活躍する選手はいなかったので、対応の仕方に慣れていなかったように見える。経験値もないだろうし、そもそも経験値のある人が中に入っていないんだと思う」と分析した。 さらに「普及の観点も欠けているのでは」とも。日本代表はこの日、アジア杯予選モンゴル戦(21日、栃木)に向けて本番会場で最終調整を行った。広報担当者が「八村に関する質問はなしでお願いします」と呼びかけるシーンもあったが、それで騒動が収まるわけではない。一連の対応は尾を引きそうだ。
中西崇太