9歳男児死亡控訴審、療育施設側が両親に計3600万円支払いで和解成立…東京高裁
川崎市の市中央療育センターで2016年、知的障害があり短期入所中だった当時9歳の男児が死亡した事故を巡り、両親らが施設を運営する社会福祉法人「同愛会」(横浜市)と対応した女性職員に計約1億2800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は15日、東京高裁で和解が成立した。法人側が両親らに計3600万円の解決金を支払う内容という。
事故は同年12月26日未明に発生。職員は男児を布団の上から押さえつける状態で寝かしつけ、自らも寝入った。朝になり、男児は息をしていない状態で見つかり、病院に搬送されたが死亡が確認された。
原告側の代理人弁護士によると、高裁は今年9月に和解案を提示。当時の寝かしつけ行為は身体拘束を伴い細心の注意を払うべきところ、職員が寝入ったことで男児を窒息状態としたことになり、「過失は重大なものと評価されてもやむを得ない」とする内容で、双方が受け入れた。和解条項には、法人側が厚生労働省と川崎市が定める障害者虐待防止の手引きを順守することも盛り込まれた。
今年3月の1審・横浜地裁川崎支部の判決は法人側の責任を認め、計約2690万円の支払いを命じる内容だったが、職員の行為が「過失」との認定にとどまったことなどから、遺族側が控訴していた。
同法人は15日、「亡くなったことは痛恨の極みであることに変わりない」とコメントした。