「明星 チャルメラ」、発売当時の「味」「パッケージ」「ネーミング」には「意外なヒミツ」が隠されていた…!
あのロングセラー商品はどのようにして生まれ、どのようにヒットをつづけてきたのか。その道のりをたどる「ロングセラー物語」。今回は、発売から57年となる、明星食品の「明星 チャルメラ」にスポットを当てる。現在のブランド担当者が商品の歴史と今を語る。 【写真】「日本のどこがダメなのか?」に対する中国ネット民の驚きの回答 〔撮影:岡田康且〕 ---------- 【語る人】須長勝博さん すなが・かつひろ/'74年、東京都生まれ。首都圏、名古屋、盛岡などでの営業を経て、'23年よりマーケティング部 第二グループ(チャルメラ)ブランドマネージャー。 ----------
「スープ別添え」で大ヒット
お湯を注いで作る即席麺を'60年に発売した当社は、'62年に業界初となるスープを別添にした商品を発売しました。中でも「スープ付 明星ラーメン」という商品は大ヒットしたんです。 現在の即席麺の基礎にもなっているスープ別添方式の成功により競合が次々に出てくる中、'66年に発売したのが、「明星 チャルメラ」でした。目指したのは、街のラーメンの味と飽きない味。 開発陣は、東京の神田、上野、浅草周辺で10店舗をピックアップし、食べ歩きを行ったそうです。 こだわったのは、今にも引き継がれていますが、やはり品質。とにかくいいものを作ろうと、それまではよくても2等粉のものを使うことがオーソドックスだった小麦粉を特級粉に変えたり、あまりコストのことは考えなかったそうです。 大きな特色になったのが、独自のアイデアとして、ホタテのエキスをスープに加えたこと。日本人には何が好まれるかを考えた開発陣の間でアイデアが複数出ましたが、その中で選ばれたのがホタテでした。 これは今も継承されていて、ホタテのエキスは'22年からは麺にも練り込まれています。 そして、もう一つ、大きな特色になったのが、仕上げ用に別添した「木の実(このみ)スパイス」でした。これは、数種類の香辛料をブレンドした特製スパイスで、「木の実」と「好み」をかけてネーミングされました。 現在は「秘伝のスパイス」という名前になっていますが、これも人気を後押ししたようです。 チャルメラというネーミングは、街の味を目指したところから発想したようです。ラーメンの屋台でよく吹かれたラッパのことですが、響きのよさと相まって、一気に認知されることになるんです。 また、パッケージも斬新でした。実はイラストをラーメンのパッケージに採用したのは、日本で初めてのことだったんです。 街の屋台のおじさんを登場させることで、愛着を持ってラーメンを想起してもらおうということだったのだと思います。イラストの採用にあたっては、200以上の案の中から選んだのだそうです。 ちなみに、「明星 チャルメラ」の成功により、即席麺のパッケージにイラストを使用したものやブランド名に奇抜なネーミングを採用する商品が出現するようになったという話も聞いています。そのくらいインパクトのある商品だったのだと思います。 当時のイラストのおじさんは、無精ひげで、足元はぞうり。実は'10年に若返ったイメージに変身し、ひげをそり、スニーカーに履き替えました。そばにいるくろネコも人気になりまして、後にキャラクターとして独立し、いろんな場面に使われるようになります。