株価・円ドル・賃金は? 総合商社と金融機関の備えから読み解く「トランプ大統領」誕生の知られざる「リスク」と「チャンス」大展望
出馬の障壁
「返り咲き」が現実味を帯びてきたトランプ氏
国際舞台から退場させられた怪人が、4年ぶりに戻ってくる。今秋の米国大統領選に先立ち、民主・共和両党は候補者選びの只中にあるのだが、トランプ前大統領が共和党候補となるのは確実で、本選勝利も見えてきた。「もしトラ」で一体、日本経済はどうなるのか。 “対バイデン”ならトランプ氏優勢 11月の大統領選に向け、各州では予備選挙や党員集会が繰り広げられている。 まず、再選を目指すバイデン大統領は、 「これといったライバルもおらず、多くの州で予備選などが集中する3月5日のスーパーチューズデーも15州全州で勝利。8月に予定されている党大会では順当に候補者指名を受ける見通しです」 とは、在米ジャーナリスト。一方の共和党は、 「現在、トランプ氏が独走状態です。各州で勝利を続け、2月24日には対抗馬であるニッキー・ヘイリー氏がかつて知事を務めたサウスカロライナでも桁違いの強さを見せつけました。スーパーチューズデーでもトランプ氏が14州で勝利し、ヘイリー氏は選挙戦からの撤退を表明。トランプ氏の指名獲得が確実視されています」(同) 共和党候補に選ばれ、本選に臨むことになるとみられるトランプ氏。続く現職との一騎打ちでも、やはり分があるのだという。 「政治サイト『リアル・クリア・ポリティクス』が各種世論調査を平均して算出したデータによれば、トランプ氏が優勢な状況は昨年11月以降、続いています。バイデン氏との対決となった場合のトランプ氏の支持率は3月11日時点で47・7%と、バイデン氏を2・0ポイント上回っています」(同) 福井県立大学の島田洋一名誉教授が言う。 「8月の党大会の直前で年齢や体力的不安を理由にバイデン氏が勇退を表明し、代わりに民主党がオバマ元大統領夫人のミシェル氏を指名するようなことになれば、本選の行方は混沌とするでしょう。ですが、あくまでバイデン氏で戦うとなった場合、接戦の末にトランプ氏が勝利すると思われます。第三の候補として、左派『緑の党』のジル・スタイン氏も名乗りを上げており、彼女がバイデン氏の票を数%奪う可能性もあります」
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「週刊新潮」2024年3月7日号掲載