米国の若者が「移住したい国」3位は「日本」…バイデン氏の再選を阻む“頭の痛い問題”とは
大統領選の行方に影響するインフレ動向
この状況に危機感を抱いた米バイデン政権は12日、27万7000人を対象に学費ローン74億ドル相当の返済免除を発表した。若者の頭痛の種である学生ローンの問題に対し、手持ちのカードを切った形だ。 バイデン陣営はさらに、若者の関心が高い人工妊娠中絶の権利の問題を争点にしようと躍起になっている。だが、若者を巡る生活環境が改善されない限り、バイデン離れを食い止めることはできないだろう。 ロイターが12日に発表した調査結果によれば、既存の政治に幻滅したり絶望を抱いたりする傾向が世界的に急拡大しており、特に米国の若い男性で顕著だった。絶望した若者は保守化する傾向が強いため、熱烈なトランプ支持者になる可能性がある。 インフレの根強さから政策金利の引き下げが遅れ、年末までに景気後退入りする可能性も排除できなくなっている。 たかがインフレ、されどインフレ。バイデン氏が再選できるかどうかは今後のインフレの動向にかかっているのではないだろうか。
藤和彦 経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。 デイリー新潮編集部
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