「そのまま12時方向に進んで」視覚障害者のための優しい地図音声道案内「くすくすマップ九州」誕生 コーヒーの香りやガソリンスタンド店員の声「オーライオーライ」も情報に
RKB毎日放送
福岡市の視覚障害者のグループがスマートフォンを活用した新たな地図作りに取り組んでいます。当事者だからこそわかる情報を盛り込んで「街歩きしたくなる」地図を目指しています。 【写真で見る】視覚障害者のための優しい地図音声道案内 ■「そのまま12時方向に進んで」 福岡市に住む出村翼さん(44)と西夕子さん(50)。視覚障害がある2人はスマートフォンの音声読み上げ機能を使った新しい地図作りを進めています。 くすくすマップ九州「21メートルほど進むと9時方向への分岐がありますが、そのまま12時方向に進みます」 既存の地図アプリにも音声案内機能はありますが、地図や周りの景色を「目で見る」ことを前提として作られています。出村さんたちが現在作成している「くすくすマップ九州」は、点字ブロックを基準に歩く距離や方角などを音声で伝えます。例えば西鉄福岡(天神)駅から中央区長浜にある「あいあいセンタ―」までのマップは68の文章で構成されています。 くすくすマップ九州の道案内「55メートル地点あづま屋という担々麺と中華そばの店があります。」 出村翼さん「セブンイレブン?やっぱりコーヒーのにおいがするからわかるね」 このマップは目的地までの道順だけでなく途中にある店の「においや音」などの情報も伝えてくれます。出村さんは、視覚障害者に外出を楽しんでもらいたいと考えています。 出村翼さん「『お店がありますよ』と言われても、点字ブロックからそのお店に実際入るためにはどうすればいいんだろうというのが、今までのマップでは足りなかったところだと思う。お店にたどり着けるような情報をしっかり書き込まなくちゃいけないと思ってそこに力を入れています」 ■「ひとりで移動できれば自信になる」出村さんは週4日ほど、バスを利用して職場に通っています。白杖を左右に振って、道の境界線を見極めたり、障害物などを叩いたりしながら、歩いていきます。 出村翼さん「車が止まったり、走ってくる車の音が少し減速するんですよね。速度を落としているなということは青だな、青になるんだなというところで判断しています」 出村さんは14歳で糖尿病を発症。明るさと暗さや一部の色は認識できるものの、31歳の時にほぼ視力を失いました。 出村翼さん「目が見えなくなったことによって全部できないと思っちゃうんですよね。マップのように細かい情報があればいろんな場所に行ける。こういう経験と情報があればお店に自分一人で歩くことができる。やっぱり視覚障害者にとって自分ひとりで移動することはとても大きな自信になると思うんですね」