運転免許保有者が減っているのに、「教習所の卒業生」が増えている理由
教習所利用の増減と統計
コロナ禍は市民生活から企業の経済活動まで大きな影響を残した。しかし、問題が顕在化した2020年からすでに4年近くが経過。感染はいまだ続いているものの、社会は落ち着きを取り戻しつつある。 【画像】「え…!」 これが日本の「運転免許者数」です! 画像で見る(計16枚) コロナ禍の間、ソーシャルディスタンスは、通勤や通学に公共交通の利用を避けるという行動をもたらした。その結果、混雑した電車やバスを避け、自家用車やバイク、自転車といった個人的な交通機関の利用が増えた。 実際、警察庁がまとめた運転免許統計によると、コロナ禍が本格化した2020年から2021年にかけて、運転免許を取得するために指定教習所に通った卒業者数は、全国で160万2206人から172万3923人まで 「7.6%増加」 した。しかし教習所に通うこと自体が感染リスクを高めるため、2022年には163万4633人まで5.2%減少した。 教習所関係者にとっては想定外の消費行動であったことは否めない。コロナ禍が完全に収束するまで、事態は収拾がつかなかった。教習所関係者の多くは落胆を余儀なくされた。 前述の統計は2022年までであり、最新のデータを示すことはできないが、全国の指定教習所は徐々にかつてのにぎわいを取り戻しつつあるといわれている。
運転免許の将来展望と「2024年問題」
特に堅調といわれる免許の種類に、意外にも二輪がある。普通二輪だけでなく、小型二輪の取得希望者が増えているのも、コロナ禍で個人的な移動手段を確保しようとする人が増えたことと無関係ではないだろう。 二輪に関心の薄かった人たちが、コロナ禍をきっかけに目を向けるようになったことは、先行きの見えない二輪業界にとって、実にポジティブな現象である。 また、コロナ禍によって運転免許証を返納する高齢者が減ったといわれている。その主な目的は、ソーシャルディスタンスを保ちながら個人的な移動手段を確保することでもあった。 特に公共交通が発達している都市部では、高齢者の運転免許返納を可能な限り推進したい当局にとって、これは本当に頭の痛い問題だったといっていい。 これまで、運転免許証の現在況と、それをめぐる動きについて簡単に述べてきた。それでは今後、どのような運転免許が増えることが予想されるのか。これは、運輸業界におけるいわゆる「2024年問題」と関係している。