しまね海洋館・アクアスのシロイルカに待望のベビー誕生…2009年に続き2回目
妊娠が判明していた島根県立しまね海洋館アクアス(浜田市、江津市)のシロイルカ「アンナ」が24日、雄の赤ちゃん1頭を出産した。同館でのシロイルカの出産は5例目で、アンナは2009年に続き2回目となる。赤ちゃんは誕生直後から自力で泳ぎ、アンナも寄り添って遊泳するなど母子ともに健康状態は良好という。同館は母子の様子を1か月間観察し、一般公開のタイミングを検討する。(佐藤祐理) 同館によると、アンナは21日に体温が低下する出産兆候が見られ、23日午後8時48分に破水した。約1時間後に赤ちゃんの尾びれが見え始め、24日午前1時33分に誕生。赤ちゃんは直後から元気に泳ぎ、呼吸のために空中に顔を出すなどした。赤ちゃんは推定で体長1・55メートル、体重55キロ。 同館では昨年6月、水中で空気の輪をつくる「バブルリング」の芸で人気者となった雄のケーリャが息を引き取った。落ち込みムードだった今年1月、アンナとアーリャの2頭が妊娠していることが同時に分かり、出産準備会議を計6回開いて準備してきた。 湊直樹館長は同館で記者会見を開き、「まずは第1関門をクリアし、ほっとしている。なんとか成功させなければと、重圧の中で迎えた出産だった。皆さんの応援と職員の努力、アンナと生まれた子どもの頑張りのおかげで、今日の喜びを迎えられた」と感謝した。 赤ちゃんの誕生は来館者にも伝えられた。岡山県倉敷市から家族で訪れた小学3年生の男児(8)は「元気でよかった」と笑顔。推定の体長が1・55メートルについて「(僕の)お母さんと同じくらいの大きさ。どんなふうに生まれたのかな」と目を輝かせていた。 同様に妊娠しているもう一頭のアーリャは7~9月頃に出産する見込みで、同館は引き続き万全の体制で経過を観察するという。 【画像】アンナに寄り添う赤ちゃん=アクアス提供
アンナ、今回は接触を嫌がらず
アンナは2009年の初産時、赤ちゃんが体に触れようとすると嫌がるなど授乳がうまくいかず、赤ちゃんが約10日後に衰弱死した経緯がある。同館はこうした事態を繰り返さないよう、バンドウイルカで成功事例がある他園での取り組みを参考に、4月下旬からアーリャを含め2頭の授乳トレーニングを続けてきた。 同館によると、24日午後2時時点で授乳はまだ確認されていないが、同日正午頃に赤ちゃんが乳首に吸い付こうとしてもアンナは嫌がるそぶりを見せなかったという。赤ちゃんは吸い付くことができなかったものの、ゆっくり一緒に泳ぐ行動が続いた。 職員らは、アンナが嫌がるそぶりを見せなかったことにトレーニングの成果を実感しており、動物管理監の三島有紀獣医師は「当面の課題は授乳の安定。早い段階で授乳してくれることを期待している」と話した。