ヴィンゲゴーが山岳で圧巻の走り 後半戦レビュー|ティレーノ~アドリアティコ
グランツールレーサーが表彰台を占める、新鋭デルトロの走りも光る
これらの結果から、2024年のティレーノ~アドリアティコはヴィンゲゴーが個人総合優勝に輝いた。ツール・ド・フランス3連覇に向け視界は良好のように見えるが、自身は「ツールとは関係なく、春の目標レースに据えていた」と述べる。ツールに向けた取り組みは春のレース活動を終えてから始めるとし、このティレーノ後には少しの休養を経てイツリア・バスクカントリーに臨む予定。いずれにせよ、プロトン最高のステージレーサーにふさわしい戦いを見せた。何より、ヴィスマ・リースアバイクはパリ~ニースでマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)が勝ち、チームとしての充実度が際立っている。 大会初日の個人タイムトライアルを勝ち、リーダージャージにも袖を通したアユソは2位でフィニッシュ。第5ステージでヴィンゲゴーの走りを見せられてからは、個人総合2位狙いにシフト。2月のUAEツアーで落車した影響からこの大会を回避したアダム・イェーツ(イギリス)に代わり、総合エースとしての責務をまっとうした。また、UAEチームエミレーツはプロ1年目のイサーク・デルトロ(メキシコ)も4位に入る殊勲の走り。次世代のエース候補がビッグネーム相手にも臆せず戦ってみせた。 3位にはヒンドレーが入賞。2年前にはジロ・デ・イタリアを制するなど、同国のレースとはもっぱら好相性。今年のツールではプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)を支える重責が待っており、4月以降はほぼ同じレースプログラムが予定される。今大会は自身がエースとして走る大事な機会で、きっちりと結果を残してみせたあたりはさすが。 なお、4賞はヴィンゲゴーが個人総合と山岳賞、ミランがポイント賞、アユソがヤングライダー賞をそれぞれ獲得。 日本勢では新城幸也が唯一参戦し、第3ステージではフィル・バウハウス(ドイツ)のスプリント勝利をアシスト。最終の第7ステージで役割を果たしたのちにバイクを降り、総合順位はつかなかった点は「不本意な形で終わってしまった」と悔やむが、調子自体は良く、今後のレースにつなげていく構えだ。